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2014年02月19日

スポーツ選手はトレーニング時の身体の感覚を大切にする

スポーツ選手は自分の感覚に正直に従うべきです。今回はスポーツ選手のトレーニング時のある注意点についてお伝えします。
スポーツ選手はトレーニング時の身体の感覚を大切にする67
JARTA代表の中野です。みなさん、ソチオリンピックは観ておられますか。
良い結果を残した選手のパフォーマンスは幸いニュースなどでたくさん流れるので、しっかり拝見しその美しさに浸っています。
 
特にフィギュアスケートの羽生選手の動きは非常に美しいですね。理屈抜きで目を奪われました。
 
彼の動きの美しさと素晴らしさの理由は、切り口によって、また人によって見方は非常にたくさんあると思いますので、ここではあえて触れません。
また彼らのことを知らないスポーツトレーナー方も、「○○の筋の発達が素晴らしい!」「彼のパフォーマンスの秘密は○○筋だ!」みたいに、部分的な解析だけは避けて欲しいと願っています。
 
そんな大活躍の10代の選手がいる一方で、私が思い出すのは、若くしてオリンピックなど世界の舞台で偉大な結果を残し、その後、活躍できずに苦しんでいる、または去っていった選手たちです。
14歳で水泳金メダルを獲得した選手をはじめとして、10代で大活躍して、その後消えていった選手はたくさんいます。そんな選手たちには何が起こったのでしょうか。
 
精神的な重圧や過度な期待も関与していることは間違いないでしょう。若くしてメダリストになったわけですから、注目度もすごいことでしょう。
しかし今回はJARTA的な解釈として、ここでは「その後のトレーニング」について取り上げてみようと思います。
 

筋力という1つの要素への偏重

筋力という
世界の舞台でセンセーショナルな活躍する選手たちは、羽生選手や元水泳選手の岩崎恭子さんなどに代表されるように、非常に細身です。
このような身体で結果を出した選手に対して、その周囲の人々はその後のパフォーマンスについてどう考えるでしょうか。
 
それは
「もっと筋力がついたら、どれだけすごいことになるだろうか!」
です。
 
これだけ細い身体であれだけの結果を残せるのだから、そこに筋力がついてパワーがついたらどんだけすごいことになるんだと、ほとんどの運動関係者がそう思います。
 
近年、スポーツのパフォーマンスの要素(パワー、スピード、アジリティなど)の大半を筋力に依存させて考える傾向にあります。トレーニング理論が常識になっている現状では仕方のないことかも知れませんが・・・。
しかし選手に指導する立場にある人間は、そんなに単純に人間の動きを考えるべきでしょうか。
 
そもそも、若手トップアスリートを安易に筋力アップの流れに載せる前に、
「なぜ、そのような細い身体なのに勝てたのか」
をしっかり考えるべきです。
 
「筋力だ!筋力が足りない」と筋力トレーニングを押しつける。本当にそうなのでしょうか。何でも筋力に結びつけて考える理論の範疇では、明確な答えは導き出せない可能性もあるわけです。
またそれ以前に、選手が「なぜ勝てるのか」がわかっていない者に、その選手のパフォーマンスアップについて指導する資格はないと思います。
 
武道・武術の世界では、小さくて細い高齢の達人が身体の大きい若者をなぎ倒すのは当たり前なのですが、ここにヒントが隠されています。
 
いつも繰り返していますが、トレーニングをすればするほどパフォーマンスが低下することもあります。JARTAではこれを「マイナスの学習」と呼んでいます。
10代で活躍し、その後筋力トレーニングに目覚めて二度と活躍できなくなったり、パフォーマンスが伸びなくなった選手は山ほどいます。
 
「オリンピックで大活躍した○○選手が、今シーズンから身体を作るために筋力トレーニングへの取り組みを始めました。」
こんな報道を見たら、少し危うさもあると考えてもいいでしょう。
 
選手のみなさん、もっと自分の身体の感覚に素直になりましょう。自分の身体が、「これじゃない」と感じたらその感覚を信じてください。
もっとわがままになって下さい。理屈や理論に合わせなくていいです。唯一無二の自分の身体を信じて下さい。
 

まとめ

人間はすべての組織が関係し合って成立している複合体ですから、それを理解しているとそもそも○○筋が…という発想にはならないのです。
◯◯筋、よく使われる言葉ですが、筋肉の要素にだけ着目すると、選手のパフォーマンスの本質は理解できないのです。
 
また選手を指導するスポーツトレーナーにも、選手の感覚を大切にできる度量ど土壌が必要です。
すべては選手たちのパフォーマンスアップのために。押し付けの筋力トレーニングはそろそろ辞めにしませんか。