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2014年09月22日

言葉の重みを再考する

「股関節を意識してください」
 
言葉の重みを再考する1
 
トレーニング指導を行う時、何気無く使う言葉の重要性を考えさせられる機会がありましたのでお伝え致します。
 
JARTAの赤山です。
 
イタリア研修を通じて、日本語が通じない場面で日本語の難しさや、言葉の持つ含みの難しさを痛感しました。
 
普段から使っている言葉も記号体系の重要性は理解して使っているつもりでしたが、はっきり言って話になりませんでした。
それは専門用語の通じる、環境や文化的背景など共通の理解がある状況下でのみ通じているだけでした。
 
もっと言うと、日本人の本当に理解できていなくてもわかったようなフリをするという気質に甘えていたのかもしれません。
 
冒頭の言葉ですが、そもそも股関節という記号の捉え方もその方が持つ解剖学的な知識や経験によって随分違います。
今回はそこではなく意識するという言葉と脚の捉え方を変える際に自分が今まで用いていた「支点」という言葉です。
 
言葉の重みを再考する2
 
イタリア語で支点は「Fulcro」、英語では「Fulcrum」と言います。
私は簡単に普段使っている用語を通訳してもらったり、英語で簡単な説明ができればなんとかなるんじゃないかと思っていました。
 
でも通訳をして頂いているテクニカルアドバイザーの吉田さんからの返答は、
「そんな言葉知らないしそもそも支点ってどういう意味ですか?」
と聞かれました。
 
私は一瞬止まってしまいました。
 
日本でも選手に指導する場面では極力難しい専門用語は使用しないように注意していましたが、何気なく使っていた用語が通じない。
この事で自分が今までいかに曖昧に指導していたかを再考させてくれました。
 

  • 力を伝える際の支えになる
  • 動きの始動になったり動きの中心になる
  • 動きの動力源になる

など多くの意味が含まれていると思います。
 
ひとつの言葉が多くの意味をかかえていれば、それを通訳でイタリア語に転換してもスムースに伝わるとは限りません。
これは日本のなかだけでも言えることなのかなと感じました。
 
言葉の重みを再考する3
 
「意識してください」といっても、その方が持つ意識という記号の認識によって若干の相違があってしかるべきでだと思います。
それが日本人の分かっていなくてもわかったようなフリをする文化に甘えるのではなく、よりその場に適した用語に転換したり補足したりしてアジャストしなければならないと感じました。
 
同業者にはその方のもつ解剖運動学的な知識に合わせて、選手には分かりやすい表現で、指導者にはその方のバックグラウンドやその場の環境に合わせて。
 
そういえば、学生時代の実習地で同じような事を悩まされたなと思い出した旅でした。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございました。