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2014年01月26日

ボランティアでのトレーナー活動は辞めた方がいい。その理由とは?

スポーツトレーナーはボランティアが当たり前?!その状況に私たちJARTAは警鐘を鳴らしています。その理由とは?
スポーツ現場におけるボランティアでの活動は、スポーツ現場に出たことのある医療従事者やトレーナーでしたら、ほとんど経験されているのではないでしょうか。
 
実は私もずっとボランティア活動を続けてきました。
たとえば高校野球の甲子園大会のメディカルサポート、某高校野球有名校、オリンピック選手、関西独立リーグなど、ほとんど無償ボランティアとしてのサポート活動でした。
この他にも、小中学校や高校、大学の部活動、アマチュアスポーツ選手へのサポートなども含めたら本当に数えきれません。
 
もちろん、それぞれの現場でやりがいや喜びは大いにありました。
でも、心の中には、ずっと「これでいいのだろうか」という想いがありました。
 
今回のテーマは、
「なぜ多くのスポーツトレーナー志望者が、スポーツ現場で無償ボランティアを続けてしまうのか」
です。
スポーツトレーナーとしてすでに選手に関わっている方、そしてこれからスポーツトレーナーを目指す方は要チェックです。
 

ボランティア活動の悩みと限界

 
ボランティアでトレーナー活動をしている間、当然ですが移動やその他経費は全て自己負担です。しかも自分の休日や勤務後の時間を使い、体力を使い、家族と過ごせるはずの時間を使っています。
 
先に断っておきますが、個人的にはボランティア活動の全て良くないと考えているわけではなく、むしろ初めはボランティアはやっておくべきだと思っています。
ただしどんなにスポーツ現場に魅力を感じていても、無償での活動は様々な要因から考えて、やはり継続しません。
 
理学療法士や作業療法士、柔道整復師など、特に国家資格保持者は医療やリハビリの専門家です。プロフェッショナルなのです。
それなのに無償で「トレーナーをさせてもらっている」状況でよいのでしょうか。
 
私はスポーツ選手がその能力を発揮し、競技人生を健全に送ることができるようになるためには、絶対に優れたトレーナーが必要だと考えています。
しかも選手もそれを感じています。信頼できるトレーナーを求めている選手は、実はとても多いのです。おかしなトレーナーを信じてしまった選手には悲劇しか待っていません。
 
ボランティアの話に戻すと、私の場合はボランティア活動を続けることで、それなりに知名度のあるチームにも関わることができるようになっていたため、「このまま続けたらいつかチャンスが来る!」という想いもありました。
いつか認められて給料をもらえる契約を持ちかけてもらえるのではという想いがあったのです。
 
しかし、そんな機会はめったなことでは訪れません。
だって給料を払わなくても、トレーナーは自ら希望して無償で来てくれているのですから。
 
また有名チームでは、無償でも売り込んでくる希望者が後から後からやってくるため、下手に交渉するともう関われなくなる可能性もあります。
ではボランティアトレーナーはどうすればよいのでしょうか。
 

ボランティアでは続けないという覚悟

私は
「ボランティアは辞めることを前提に活動すべき」
だと考えています。
 
初めから辞める時期を明確に伝えておくこと(最低1シーズン程度)で、あなたがトレーナー活動をしている間、相手は観察し考えます。
あなたが「お金を払ってでもチームに必要なトレーナーかどうか」を。
その間、あなたは全力で結果を出しまくればいいのです。選手や現場の監督、コーチから信頼を勝ち取ればいいのです。
 
辞める時期が訪れ、それでも有償契約に切り替えてもらえない現場だったら、縁がなかったとそのまま辞めた方がいい場合の方が多いです。(現場の方々との関係は良好に続けること、終えることは重要です)
 
スポーツトレーナーとして報酬をもらえるようになることを望んでいる方にとって、その現場はもはや不要です。
ずっと残っても大きなチャンスを紹介してもらえる可能性は少ないでしょう。それまでのボランティア活動は実績としては残りますので、その実績を元に新たなフィールドに進んでください。
 
我々はプロフェッショナルですから、絶対に自分を安売りしないで下さい。
 
しかも、自分を安売りするだけならまだ自由ですが、その行動は、後に続く後輩たちやトレーナー全体の価値を下げることにつながります。(質ではなく、「価値」です)
 
ですから逆にいえば、残念ながら現在のこの状況は、私たちの先輩が残した負の遺産で、先輩たちの責任です。
私たちがスポーツ現場のそんな価値観を根底から変えていかなければならないのです。
ともかく私はそんな風にして活動の幅を広げてきました。とてもしんどい道のりです。
 
基本的には近道はありませんが、「現場で結果を出しまくって信頼を得る技術」を身につけておくことは唯一の近道、チャンスを引き寄せる方法かも知れません。
 

まとめ

トレーナーのボランティア活動についてお伝えしてきました。
結局、無償ボランティアを辞められない理由は、
「自分が他のトレーナーが出せないような結果を出す自信がないこと」
ここにあると思います。
ずっとボランティア活動をしたい方は別にそれでもいいのですが、いつかプロとして活動したい方は違うはずです。

  • チャンスを得たいからボランティアをしている。
  • ボランティア経験を積んでいつかスポーツ現場で活躍したいと思っている。
  • プロなのに無償が当たり前の空気には疑問を感じているが、報酬をもらえるような技術がないと自覚している。
  • ボランティアなのに選手から受け入れてもらえない。

以上のような方は、他のトレーナーを圧倒するのに必須な知識・技術・考え方を学ぶことで、違うフィールドが見えてきます。
 
こういった現状をより良くしていくため、JARTAでは認定スポーツトレーナーを対象にトレーナー活動現場の紹介も行っております。(認定スポーツトレーナーランクなど、条件により処遇は変動します)
 
プロとしてトレーナー活動を行っていく。長い目で見れば、それが選手のためでもあり、スポーツトレーナーの地位向上につながると私は信じています。