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2016年07月04日

グローインペインってなんだ!?

グローインペイン症候群(鼠蹊部痛症候群)とは鼠蹊部周辺に出現する慢性障害であり、本当の原因を特定しにくいためこのような鼠蹊部周辺に出現する痛みを総称してこのように呼ばれています。
肩こりや慢性腰痛と同様に特定の病態があるわけではなく、病院でのリハビリテーションでも根本的な改善がなされないまま長期化してしまう事例も多いスポーツ選手にとっては悩ましい障害のひとつです。
今回はそのグローインペインに対する評価・アプローチとして重要なポイントをご紹介致します。

鼠蹊部の痛みは結果であり、原因ではない

いつも公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
認定講師の赤山僚輔です。
多くの慢性障害において重要な視点は、
「痛みは結果であり原因ではない」
ということです。
これをグローインペインに置き換えると、恥骨筋や内転筋、薄筋等に出現する痛みは他部位の可動域制限や機能障害を代償した結果であり、炎症や緊張が高い鼠蹊部の筋へのストレッチやリラクセーションだけでは根本的な解決にはならないのです。
常にその筋の硬さや炎症・スパズムの原因となる因子を包括的に捉えることが重要となるのです。
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(TeamLabBodyより引用)

恥骨の評価の意義とは

上記に挙げた恥骨筋も内転筋も薄筋も恥骨に付着する筋であり、恥骨にかかるメカニカルストレスを包括的に捉えることは、グローインペインを評価するうえで非常に重要です。
・恥骨の圧痛の有無(圧痛のある位置も合わせて)
・恥骨の左右の偏位(上下前後含む)
・恥骨の可動性評価
・恥骨周囲を通る経絡のチェック
関節の評価において、圧痛があるということはそれだけ硬さがあり付着する筋の緊張が疑われます。
歪み(偏位)と痛みは比例しない場合があり、この場合骨盤の歪みがあればグローインペインになるかというとそういう選手もいるかもしれませんが、それが全てではありません。
では恥骨の評価を通して何を知る必要性があるかというと・・・。
 
恥骨にかかる過度なストレスの要因を探るということです。
 
何らかの要因で腹直筋や白線など恥骨の付着する上方に位置する筋の短縮や過緊張が発生した場合、片方の恥骨を上方へ牽引するストレスが増大し恥骨の下方に位置する筋は代償的に伸張ストレスが加わり、筋発揮が不利な状況となります。
腹直筋や白線の緊張を助長する要因として腹腔内の臓器の機能低下や腸間膜のねじれなど筋・骨格器以外の要素も考えられます。
また自律神経系のストレスが重なり、呼吸機能の低下、胸郭可動性低下などから上腹部の硬さが出現すれば胸骨の可動性低下から筋・腱の付着の関係で恥骨への影響も考えられます。
同部位の硬さは上腹部に位置する腹腔神経節や上下腸間膜神経節への過度なストレスとなり、痛みに敏感な状況になる可能性もあるのです。
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股関節前面の筋で蹴らないといけない状況とは

恥骨の評価と同じくらい私が重要視している点は、なぜ股関節前面や内側の筋にそこまで負担をかけないといけなくなったかという事です。
グローインペインで悩む多くの選手はサッカーなどキック動作を反復する競技に多いのが特長です。
同じ動作を反復する際、使えないところは使わず使えるとこばかり使ってしまうのが一般的です。
このような痛みが出現する選手は股関節の伸展制限や体幹の捻り、反対側の上肢の使い方が不十分な場合が多いのが特長です。
上記のような使いかたになってしまうのは、誤った認識によるミスユースからくる場合もあれば、前述した恥骨への負担となる腹部や前胸部の硬さが自律神経系のトラブルから起因し無意識的に使えない状況になっている選手もまた多いのです。
腹部が固ければ股関節の伸展に制限が出現し、胸郭の可動性低下から体幹の捻りや上肢のスイング動作も使いにくくなってしまうのです。
 
要するに使い方を変えるだけでも局所にかかる負担をアプローチだけで変えるのでも不十分で、特にスポーツ障害においてはその両側面をチェック・アプローチする必要性があるのです。
そして、繰り返しになりますがグローインペインは結果でありそのプロセスと原因を包括的に捉えなければ根本的な解決にはならないという事なのです。
 
JARTA循環セミナーでは自律神経系含めた全身循環の問題や慢性疼痛に至る過程の理解とアプローチ方法をお伝えしております。
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また今回新たに開催するグローインペインのセミナーでは上述した評価や恥骨の偏位を改善するアプローチや動作を変えるためのワークやチェックポイントも含めてお伝え致します。
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長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございます。