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2015年12月18日
身体をみれば動きがわかる
「二遊間の低く速いゴロ捕球がしにくくないですか?」
これは先日四国独立リーグからNPB(プロ野球)への入団が決まったアスリートとコーチが一緒にトレーニングをする中で交わした会話です。
四国・高松で活動しております赤山僚輔です。
私は野球専門のトレーナーでも本格的な野球経験があるわけでもありません。
しかし身体は動く方向にしか動かず、身体環境を深く観察することでパフォーマンスを発揮する際の動きを予測することが可能となります。
今回は短い時間で効果を実感していただいたアスリートの変化を元に
《動きが変わる》
ということについてお伝えしたいと思います。
彼の最初の要望は、
・ストロングポイントであるスピードをさらに強化したい。
・盗塁時に重心が浮き上がってうまくトップスピードに移行できないので右への重心移動をなめらかにしたい
というものでした。
リードをした状態から盗塁をする時の動作や身体をみて右の股関節が硬いということはすぐに確認でき、本人も自覚がありました。
そこで右の股関節の硬さが改善することと、パフォーマンスをさらに結びつけるために動画のような動きを通して二遊間のゴロ捕球時にうまく身体が操作できないことを確認してもらいました。(彼はセカンドの選手です)
感覚的に二遊間のゴロに対する苦手意識はあったようですが、このような簡単な動作でここまで左右差があるのは本人もコーチも自覚がなくびっくりしておられました。
ここで私が行ったアプローチは、
①右の股関節の適合性を改善する
(股関節T-レフストレッチ)
②股関節の硬さの原因のひとつである大腰筋の硬さを改善する
(大腰筋T-レフストレッチ)
③股関節の硬さの原因となる右足部の硬さを改善する
(下腿T-レフストレッチ・足指ほぐしとOMSS)
④大腰筋の硬さの原因となる胸椎の硬さを改善する
(脊柱スパイラルストレッチ)
※全てJARTAセミナー内でお伝えしているモノです。
もちろんどれもセルフワークで実施し、施術は一切行っておらず硬さがとれにくかった大腰筋と胸椎に関してはプラスアルファでオリジナルワークをお伝えしました。
俗にゆうトレーニングも行っていません、硬さを緩めたのみです。
もっと言うと使いやすい環境に整えただけです。
JARTAでいう
「身体環境作り」
です。
その後の動きが、下記の通りです。
当たり前ですが、この間ゴロ捕球の練習を反復したわけでもなければこの動作を繰り返したわけでもありません。
決して《動きを変えよう》としたのではなく身体環境を整えて《動きが変わった》のです。
この右下方への重心移動を阻害している要素に対して、ごくごくシンプルないつもJARTAセミナーでお伝えしているようなワークを実践してもらっただけなのです。
本人も最初はなぜ動きが変わったのか理解できない様子でしたが、右股関節の硬さを取ることで今まで苦手だった動きが結果的に変わったのでまずは継続してこのワークをやってみると言ってもらえました。
当たり前ですが、盗塁の動きだしで身体の浮き上がりもなくなりました。
蛇足ですが、彼はリードからの帰塁は早くそれをコーチにお伝えするとそんなことまで分かるんですかと驚かれておりました。
左の股関節が比較的うまく使えているので当たり前なのです。
ここで皆様に考えて頂きたいのは、よく選手にトレーナーや指導者がやってしまいがちな下記の問題についてです。
「スピードがない」
「パワーがない」
「動きが下手・ぎこちない」
という問題点に対して、スピードがないからダッシュを繰り返したり、SAQトレーニングばかりしたり。
パワーがないからスクワット・ベンチプレスをひたすら強化したり。
動きが下手だからその動きをひたすら反復している場合がまだまだ現場では見受けられます。
身体環境をしっかり整えてあげることで怪我が減るだけでなくその選手が持つ本来のスピードやパワー・身体操作ができるようになります。
スピード・パワー・動作の練習・強化はその《身体環境》が整った後に実施するとさらに効果的に強化を図ることができます。
《身体環境》が整っていない状態での強化はパフォーマンスアップに向けての遠回りになるだけでなく慢性障害の起因になるということを我々トレーナーは深く理解する必要性があるのです。
関節の動きが悪いのに無理やり動きにくい動作を反復するのですから、筋や腱・関節への負担が増大してしまうのは誰でも予測がつくと思います。
本質的な障害予防とパフォーマンスアップが解離してしまうといつまでたっても慢性障害が減らないのです。
特に子供達はこれが怪我の予防に効くから、と言っても単純なワークは実践してもらえません。
でもこのワークをするとスピードが速くなるよ、ここが動きやすくなると相手をもっと交わしやすくパワーも出しやすくなるよ。
と伝えそれが実感できれば継続してくれるのです。
このような試みを通して全ての選手が慢性的な痛みから解放され最大限のパフォーマンスで勝負できる世界を少しでも早く実現できるように引き続き学びを進めていきたいと思います。
長くありましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。