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2017年01月06日
意図的に「前もも」の力を抜けますか? ~セルフチェック編~
歩行やその他動作において、下肢機能としてアクセルの役割は主にハムストリングスが、ブレーキの役割は主に大腿四頭筋や腸脛靭帯(以下「前もも」)が担っていることは、最近では徐々に認知されつつあります。
過去記事「コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋」
認定講師の高塚政徳です。
私が自分自身でよく使う「前もも」の状態をみるための簡単なチェック方法をお伝えします。
まずは、
「前もも」を抜きつつ、ハムストリングスを適切に効かせながら立てるかどうか。
???
私はこれを最初に聞いた時、自分では頭でイメージもできず、全く体現もできませんでした。
元々、オスグッドや膝蓋腱炎、腸脛靭帯炎に悩み続けた高校球児だった私は長年、ここでいう「前もも」を酷使する体の使い方しかできない体になっていました。
JARTAでは荷重下において、大腿四頭筋を必要最小限の筋収縮(出力)で動作が遂行できることは、ハイパフォーマンスの前提条件であるとお伝えしています。(一次姿勢の重要性)
必要最小限というのは、単に脱力や弛緩ではなく求められる姿勢、動作により収縮(出力)を他の部位と協調しながら適切に調節できるという意味合いを含みます。立位においても歩行においてもさらに強度・難易度の高い動作においても同様です。
(毎日新聞ニュースから引用)
例えば、この画像の姿勢で考えてみましょう。バドミントンでは頻繁に行う動作です。
この動作を股関節周囲筋(大腰筋、ハムストリングス、内転筋群、臀筋群など)と協調しながら、「前もも」が使えるのか※、「前もも」を優位に使って姿勢保持や動作を行ってしまうのかで、大きな違いが出てきます。
※股関節、筋の要素だけの問題ではないですが今はあえて股関節周囲の筋にフォーカスしています。
後者であれば、膝の安定性は保たれず、膝前方組織へのメカニカルストレス増大や、Knee inなどダイナミックアライメントの崩れ、臀筋群や腰背部の過緊張が生じ、パフォーマンス以前にケガの発生につながる可能性が高まります。
これに加えて、上半身は繊細な動きや感覚が求められ、全体としては次の動きに備えるための踏み込みからの戻りをより早くしなければいけません。
慢性的に膝や腰に症状を抱えているようなコンディションの選手は、すでに後者の状態に陥っている可能性が高く、ここの部分の調整が必要になると考えられます。
動作の前段階として、静的な立位姿勢で、意図的に「前もも」の力を抜けるかどうかのチェック方法を紹介させていただきます。
セルフチェック:「前もも」を直接触れて、揺らす
①足をそろえた立位(膝は軽度屈曲位)
②足を前後にズラして同様に行う(前側の膝は軽度屈曲位)
「もも前」の力が抜けている場合
→ 骨と軟部組織が分化しているのが主観的にも客観的にもわかる
「もも前」の力がうまく抜けていない場合
→ 「もも前」の力が入りすぎている場合には振動が伝わらない
立位姿勢の時点で、「前もも」を優位に使いすぎる場合は、動作の初動からさらにその傾向が助長されてしまうことが考えられます。その後の動作においても本来ブレーキとする箇所を常に働かせながらアクセルを入れることになるので、運動効率はかなり悪くなることは想像できると思います。
やみくもにストレッチやトレーニングをしてもこの悪循環からはなかなか抜け出せません。
まずはどの程度このセルフチェックができるか試してみてください。
「前もも」が優位な状況を脱却するための方法は次の機会で伝えさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。