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2016年03月07日
そのトレーニングで本当にACLが予防できますか?
昨今、様々な予防トレーニングが提唱され様々な団体や競技において前十字靱帯の損傷予防エクササイズが実践されています。
しかし今一度そのバランストレーニングや股関節外転・外旋エクササイズ、体幹トレーニングが膝の捻りや不良アライメントを改善できるのか再考する時期にきていると考えています。
JARTAinternational 統括部長の赤山僚輔です。
私は先月まで約3年間、実業団の女子バスケットボールチーム「OTCくきや」へチームトレーナーとしてサポートを行ってきました。
選手のコンディショニングやトレーニング指導・試合帯同はもちろん、大会に向けての過ごし方や大会期間中のタイムスケジュールもチームスタッフと協議しながらサポートを行っておりました。
私のサポート最後の大会では残念ながらよい結果は残すことはできませんでしたが、これまで医療機関で前十字靱帯(以後ACL)の術前術後リハビリを専門に行ってきた人間としてはある一定の成果を残すことができ今後はそれを可能な限りシェアしていきたいと思っています。
その一定の成果とは、
①3年間慢性障害で練習・試合を欠場する選手が一人もいなかった。
(練習・試合に出場できる程度の痛みを有する選手はおりました)
②3年間ACL損傷/半月板損傷が1名も発生せず、膝を捻るという事がなかった。
(ちょっと捻って怪しいからMRI撮影しておこうというのゼロ)
③ACL損傷半月板損傷の既往がある選手が数名いるなかで最後の大会で膝にサポーターやテーピングをする選手が一人もいなかった。
(同カテゴリー全国大会の決勝でスタメン10名中テーピング使用選手は7名であった)
そのチームをサポートする以前に高校の女子バスケットボールチームへサポートしている時には既存の予防トーレニングをいくつも実践しましたが4年間で毎年ACL損傷や半月板損傷を経験しJARTAでお伝えしている120%の復帰は実現できても損傷をそもそもなくすという観点では悔しい思いをたくさん経験しました。
その経験やその後に出会った身体操作や意識・関係主義的な思考により現場での予防に対する取り組みは根本的に変わりました。
JARTAでも繰り返しお伝えしているように、正しいコンディショニングと身体操作を向上させ内/外的認識力を向上させ、極力マイナスの学習とならぬようにトレーニングを継続していくことで多くの慢性障害はなくすことができると考えています。
特にノンコンタクトでの受傷が圧倒的な割合を占めるスポーツにおいては膝へ繰り返しのストレスがかからないようにする思考や不良アライメントを改善する思考を深く深く考察していくことで、慢性障害だけでなくACLなど膝の外傷を軽減することができるとこのチームの経験によって感じることができました。
もちろんハードな練習やトレーニングを継続するなかで厳しい部分もありますが、日々の選手自身のコンディショニングやトレーニングに対する意識。
どういった身体の動きが望ましくなく膝に負担がかかる可能性があるのか、どういった部分に負担が蓄積されるとパフォーマンスが低下するのか。
そういったことが選手自身に自覚できるようになったとき、障害予防とパフォーマンスアップに対する取り組みや思考は合致します。
怪我をしないことが目的だけのケアやコンディショニングでは選手たちは実践しつづけてくれません。
しかしそのケアやコンディショニング・トレーニングを実践することが日々の疲労を軽減したりパフォーマンスアップに関与することが理解できれば継続することができるのです。
ACL損傷を本当の意味で予防するなら、ある枠組みである一定の成果がでているトレーニングを実践するのでは不十分です。
そのチームにとってその選手にとって本当に必要な事を関係主義的に捉えて、意識を変えて継続していくしかありません。
今回は私自身が実践しているワークや思考の部分をしっかり習得していただく事を目的にセミナーを実施します。
合わせて開催する循環セミナーについても不良アライメントや慢性障害を改善する上で非常に重要な視点になります。
ご興味がある方は是非下記よりご確認ください。
最後に送別会でコーチから嬉しい言葉をいただいたので共有させていただきます。
私がコーチに
「結果が出せなくてすいません」
と言うとコーチから
「そんなことはない、いてくれたから100%で勝負ができた。いなかったら80%とかもしかしたら50%で勝負をしないといけなかったかもしれない」
と言われ、プラスな結果がでていなくてもマイナスを出さずに過ごした3年間の事を充分に理解して頂けている事が確認でき胸が熱くなりました。
防げる怪我を防がないのはプロである医療従事者やトレーナーの責任です。
選手自身が最高のパフォーマンスを発揮させる過程にACL損傷予防があるのだと私は確信しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。