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2016年11月22日
【実戦】トレーニングを使いこなす ~インナースクワット編~
インナースクワットとは、JARTAアドバンスⅠで学ぶことができるセンタリングトレーニングの1つです。スポーツ場面に必要な、脊柱、骨盤、股関節、足首などの要素をターゲットにトレーニングを組み立てることができます。
JARTA認定講師の田中紀行です。
私は、普段、クラシックバレエ、フィギュアスケート、新体操、バトン等の表現を必要とする競技を中心にトレーナー活動を行っています。
今回は、その中でインナースクワットを選手のトレーニングにどのように活用しているかを具体的にお伝えしようと思います。
【対象選手】
女子ジュニアフィギュアスケター
*参考までに、ジュニアカテゴリーは13歳以上で18歳までであり、国際大会のカテゴリーではシニア、ジュニア、ノービスの三段階の年齢区分があります。
【目的】
- インナースクワットを選手自身のコンディションを把握するツールとする
解説:ジュニア世代は、競技への意識も高くなってきますが、まだストレッチとパフォーマンスの関連性への理解が乏しく、単純にストレッチをする、トレーニングをすると言った状況に陥りやすいです。
そのため、マイナスの運動パターンに陥ることも散見されます。そのためインナースクワットを自分の動きの評価に用い、ストレッチ等で動きをどのように変えていくかと言う戦略的思考を育てることが重要です。
- フィギュアスケートに必要なアブレスト能力を考え、応用したインナースクワットを提供する
解説:フィギュアスケートのテクニックを考えると上半身や体幹を固定しながら、股関節や膝関節を自在に操るようなパフォーマンスが多くあります。
これは、フィギュアに関わらず多くのスポーツの様々な場面でもその特性を考える必要があります。
今回は、ハイアームでインナースクワットを行い、上半身・体幹を固定した状態でもスムーズなインナースクワットをできるかと言う点をアブレスト能力のポイントとしました。
- トレーニング道具を用いて認識力を強化する
解説:フィギュアスケートの基礎は、何と言ってもスケーティングです。GPファイナル優勝者でもある高橋大輔選手は、スケーティングの際に『靴のエッジと氷を捉える点はダイヤモンドの一点である』と表現したほど、スケーティングの際の重心点は繊細です。
今回は、踵の前面付近(立方骨下)に道具を使う事により、ハイアームインナースクワットトレーニングに重心を捉えると言う認識力のワークも取り入れました。
【インナースクワットのクオリティーを上げるための選手へのフィードバック】
フィードバックは、1回目の評価のインナースクワットを行った後に、動きのレベルを向上させるために行いました。
選手へのフィードバックのポイントは、次の試合が近かったこともあり、自ら解決策を導き出せるように口頭のみの指導とし、戦略的に脊柱・股関節・足首などのストレッチをすることで、インナースクワットの動きや重心の捉え方の変化を感じてもらえるようにしました。
自ら考えた方法により身体の変化を感じる事で、選手の自信になり、また、目的にもある選手の戦略的思考を長期的に育てていくための基礎にもなります。
今回、選手が取り入れたメニュー
- 脊柱スパイラルストレッチ
- 大腰筋・股関節T- レフストレッチ
- 頸部C3セルフストレッチ
*上記ストレッチを左右すべて行っても5分程度で実施できます
【介入前後の動画】
【まとめ】
インナースクワットと言う1つの選択肢も、選手やスポーツの特性に応じてカスタマイズすることで、パフォーマンスアップにおいて、必要性の高いトレーニングになります。
また、ジュニア時代から高い意識で、セルフコンディショニング、トレーニングに取り組める事で、パフォーマンスアップのみならず怪我の予防にもなります。
選手個々に応じて、ベストなトレーニング環境を提供できるようにしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。