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2014年05月14日

フォーム指導にひそむ危険性

担当する選手が目の前に来たら、必ずチェックするポイントはありますか。私は、どんな状態の選手に対しても必ずチェックするポイントがあります。
 
みなさんはじめまして。JARTA認定スポーツトレーナーで理学療法士の枝次伸吾と申します。この度コラムを書かせていただくことになりました。よろしくお願いします。
 
みなさんは痛みを出しているのはフォームが問題だからといって、すぐにフォームを変えようとしていませんか。
 
過去に膝に痛みを抱えた大学のアメリカンフットボールの選手をみているとき、フォームが悪いから痛みが出ていると判断し、私はフォームばかり変えようとしていました。
フォームに操作を加えることで、その場では痛みが軽減しても、再度来たときは痛みが元に戻っているということが多かったのです。そういったことを何度も経験し、当時はとても苦しみました。
 
でも今ならわかります。
これはパフォーマンスを構成する階層を理解していれば、解決できた問題だったのです。
 

パフォーマンスを構成する階層

フォーム指導にひそむ危険性1
3次姿勢:発現しているパフォーマンス

2次姿勢:歩行

1次姿勢:立位
つまり、パフォーマンスの土台は歩行であり、歩行の土台は立位であるということです。
 
この構造を理解せずに、一般的なフォーム指導のように3次姿勢の変化に固執することが本当に選手にとって良い指導といえるのでしょうか。
例えばこれは家の土台が崩れているのに外観だけを整えていることと同じですよね。このことは現在「常識」とされている運動指導を考える上で非常に重要な問題です。
 
私自身も、3次姿勢を理想のフォームに近づけることしか考えていませんでした。今だったら直接3次姿勢を操作することがいかに危険かはよくわかります。
しかし当時はそんな階層があるなんて理解していませんでした。ただひたすら問題のある動きを改善しようということで、フォーム指導の繰り返しです。
その結果、選手はテーピングで膝を固めるということでしか復帰できない、ということの繰り返しでした。
 
パフォーマンスを構成する階層の一番下の階層、「立位」をみることで選手の痛みを出している本当の原因が見えていたのではないかと思うと、当時の指導には本当に悔いが残ってしまいます。
 

立位をみる、ということが重要な理由

フォーム指導にひそむ危険性2
歩行が変われば動きも変わる、歩行は体軸(センター)の移動ともいわれています。
(※参考図書 高岡英夫著書 「センター・体軸・正中線」「身体づかいの常識革命」)
 
運動という枠組みの中で、地球上という重力下での立位がいかに重要なものかをしっかりと考える必要があります。
最も簡単な運動である立位が適正でなければ、それよりも難易度の高い歩行や走行、様々なパフォーマンスが効率の良いものにならないことを認識する必要があるのです。
 
立位や歩行を考えずに、3次姿勢であるフォームだけを変えようとすることが、いかに危険なことかを認識する必要があるのです。
適正な1次姿勢は、ケガを改善したりケガを防止したりするために重要な意味を持つとともに、パフォーマンスを高めるための必須条件です。
 

立位のチェックポイント

では「立位」のどこに着目してみるのか。
それはまず脛骨直下=ウナ(※高岡英夫先生提唱)で重心をとらえるということです。ウナは、建物でいうと柱の真下です。
柱の真下に重心がないと、力学的に大きなロスが生じるのは当然ですよね。
 
そしてウナで重心をとらえることで、大腰筋、横隔膜、骨盤底筋、ハムストリングス上部が働きやすくなる条件に近づきます。これらは体幹内の重要なインナーマッスルですので、当然パフォーマンスアップへとつながります。
 

1次姿勢を整えるための方法

現在トレーナー活動をしている方、今後スポーツトレーナーとして活動したいと考えている方、フォームにこだわるのではなく、一度1次姿勢(立位)を確認してみてください。
そこから問題が見えてくることもあります。
 
そしてここで述べたポイントは1次姿勢(立位)のチェックポイントのほんの一部であることも付け加えておきます。
 
JARTA認定スポーツトレーナー養成コースでは、まず徹底的に1次姿勢を獲得させるための技術とトレーニングを学びます。
私はそれらを習得することで、トレーナーとして大きな活路を得ました。これからも本当の意味で選手に貢献できる存在を目指していきたいと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。