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2014年05月27日
ハイパフォーマンスに欠かせない裏転子と大腰筋の関係
今回はJARTAセミナーでもお伝えしている大腰筋と裏転子・ハムストリングスの関係についてお話しします。大腰筋に関しては何度かコラムでもお話ししていますが、また違った視点からのお話しですのでトレーナーの方は要チェックです。
JARTAトレーナーの岩渕です。
さてJARTAではいくつかの重要視している概念や部位があります。大腰筋や裏転子はその重要視しているもののひとつです。しかしこの裏転子という言葉そのものを聞きなれていない方も多いかと思います。
裏転子とは
裏転子とは運動科学者である高岡英夫氏の提唱する身体意識のひとつで、殿部の下半分からハムストリングスの上半分に形成される身体意識を指します。
この裏転子の意識はハムストリングスを活性化すると言われています。
ハムストリングスが大腰筋の拮抗筋であることは周知の通りだと思います。裏転子の身体意識はハムストリングスを活性化し、主動-拮抗筋作用により大腰筋-ハムストリングス両方を強化することが可能になります。
ではハムストリングス全てが大腰筋の拮抗筋であるかと言われればそれは違います。大腰筋に対する拮抗筋は、ハムストリングスの中でも裏転子の意識で活性化されるハムストリングス上部がそれにあたります。
回旋も考慮した大腰筋の拮抗筋はどこか
大腰筋の作用はOKCでは股関節屈曲であると認識されていると思います。一方、拮抗筋であるハムストリングスの作用はというと股関節伸展と膝関節屈曲が作用であるとされています。
実はこの認識に大きな問題点があります。
一般的に、関節運動というのは屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋といった3軸で表現され、それぞれの関節は可能な運動方向により1軸、2軸、3軸の関節に大別されます。この枠組みの中で股関節は3軸の関節に位置付けられます。
一度考えていただきたいのですが、屈曲-伸展の作用のみを起こす筋肉があるでしょうか。答えは当然NOです。1軸の関節ならまだしも股関節は3軸の関節で全ての運動方向に可動しますし、運動方向はあくまで人が便宜上分けただけの分類です。
ではこの事実を踏まえて、大腰筋とハムストリングスの起始と停止、筋肉の走行をみてみましょう。
大腰筋は12胸椎及び第1腰椎~第4腰椎を起始として小転子に付着します。走行は大腿骨に巻きつくように小転子に付着します。
ここが重要なポイントで、大腿骨を這うように走行し後内側にある小転子に付着していることで大腰筋が収縮すると股関節の屈曲だけでなく外旋運動が起こります。つまり大腰筋は股関節の屈曲と外旋が作用となります。
次に拮抗筋であるハムストリングスをみてみましょう。外側にある大腿ニ頭筋は坐骨結節を起始とし、腓骨頭及び下腿筋膜に付着し、内側にある半腱様筋と半膜様筋は坐骨結節を起始とし脛骨粗面内側に付着します。
これらの筋の起始・停止と走行から外側ハムストリングスは股関節伸展及び外旋、内側ハムストリングスは股関節伸展及び内旋の働きが作用となります。
こういった理由から股関節屈曲及び外旋運動を主動する大腰筋の拮抗筋は、伸展及び内旋運動を主動する半腱様筋と半膜様筋、つまり内側ハムストリングスということになります。
そしてこの主動筋-拮抗筋の関係は回旋運動も伴い、屈曲外旋-伸展内旋の関係となります。
ここが非常に重要なポイントで、この回旋運動を伴った股関節屈伸運動がJARTAで推奨しているRSSCにつながるのです。つまり大腰筋-内側ハムストリングスの関係がRSSCを賦活(ふかつ)する
例えば陸上選手が走るところをスローで見てみると、かなり回旋の要素が見てとれます。そのため、大腰筋やハムストリングスを活性化するというのは近年注目され、重要視されているのです。
視点を変えると拮抗筋からみえてくるものも変わる
上記のように股関節の屈伸という観点でみると 「大腰筋⇔裏転子」
回旋要素を考慮すると 「大腰筋⇔内側ハムストリングス」
股関節回旋要素を考慮すると「大腰筋⇔内側ハムストリングス」の拮抗関係が成り立ち、それがRSSCを賦活します。そして裏転子の身体意識はこの作用を活性化しハイパワーハイスピードのパフォーマンスを実現にするため欠かせません。
このように考えると、大腰筋だけにフォーカスして治療やトレーニングするのでは不十分なことがお分かりいただけるかと思います。
JARTAでは大腰筋や内側ハムストリングスを活性化し、RSSCを賦活するトレーニングや治療手技をセミナーでお伝えしています。
大腰筋やRSSCをもっと知りたい方はぜひセミナーにご参加ください。
また指導者や選手の方で、もっとパフォーマンスを上げたいとお考えの場合は、ぜひお問い合わせください。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。