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2014年03月11日

世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底

イタリア視察で私が見て感じたこと。今回のテーマは世界トップクラスのシステムの根底にあるものです。
世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底1
 
JARTA代表の中野です。
前回は、世界トップクラスのサッカーチーム・インテルのユースを視察に行った際のコーチ陣とのやり取りや、そのシステムについてご紹介しました。
それらのやり取りをまとめますと、
「生き残り」
これが、私がユース視察においてメディカル・トレーニング系のシステムの根底に感じたことです。
 
当該チームで採用されているシステム(ほとんどスポーツ組織で採用されているタイプ)は、「ケガの原因を突き詰めて解明し、再発しないように改善してゆく」ものではありません。
もちろん、故障や痛みの原因が、「痛みのある部位」だけでなく、他の部位にあるという発想自体が乏しい文化が土台になっているシステムですから、仕方のない面もあります。
 
このシステムでなぜ結果を出せるのかを考えたとき、それが可能になるための要素として、

  1. 「豊富な資金」
  2. 「豊富な人材(選手層)」
  3. 「豊富なスタッフ数」

が挙げられます。
 
これらの環境を揃えた中で競わせ、生き残った「センスのある選手」だけがトップへと昇っていけるのです。
裏を返すと、ケガを発症する選手を何とかしようという方向性は見受けられないと言えます。
必然的に、ケガをした多くの選手は、将来が厳しくなり得ます。
 
世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底2
 
これらの点から、私は「世界トップレベルのクラブが採用しているシステム=世界最高のシステム」とは限らないと考えています
何が言いたいのかというと、インテルのように「豊富な資金」、「豊富な人材(選手層)」、「豊富なスタッフ数」を整えることができない日本のほとんどの組織においては、このシステムを追いかけるべきではないということです。
 
インテルですらトップチームに上がれる選手は各年代で1〜2名なのです。育成コスト面でそこまでかけられるチームが日本にどれだけあるでしょうか。
つまり、「資金面」「人材面」「スタッフ数」における環境において全く劣っている日本のスポーツ組織が、豊富な上記要素を前提条件としたシステムを追いかけている限り、今後も「勝てない」と言えます。
 
そして、これらの要素を満たせないのであれば、日本独自のシステムを構築するべきです。
世界の強豪国から参考にされるようなシステムを作り出せばよいのです。
日本には、欧米組織には容易には理解できない、“関係主義”という考え方があるのですから。
 
次回は、「日本人選手の進むべき方向性、世界から見た日本人選手」について考察したいと思います。
インテルユースの総責任者、モンティ氏より、厳しいお言葉を頂いたのでそちらもご紹介します。