走りを早くするには股関節を“抜く”

JARTA認定講師の鳴海裕平です。

以前大腰筋についての記事(●大腰筋を使うには“掌”がポイント )を投稿させて頂きましたが、その際に『走る際にも掌を下に向ければよいのでしょうか?』という質問をいただきました。

歩くことだけを考えて大腰筋にフォーカスすると掌の向きは同様でもよいのですが、

“走る”という動作には大腰筋だけでなく、ハムストリングスの機能を考える必要があります。

ハムストリングスの機能を発揮するにはこの掌の向きでは不十分なため、

『走る速度を上げる』『楽に走る』という目的には適さないといえます。

 

ではハムストリングスを使うにはどうすればよいのか?

今回は前回の内容から一歩進んで、【歩く⇒走る】につながる内容をお話しさせていただきます。

 

 

【歩く⇒走る】につなげるには?ハムストリングス上部内側と仙腸関節

特に重要となるのがいわゆる、もも裏、つまりはハムストリングス上部です。

ハムストリングス上部でもさらに絞り込むとその内側・外側における

内側ハムストリングス(半腱様筋・半膜様筋)が重要です。

(内側ハムストリングスは写真の黄色の円の位置)

 

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ハムストリングス上部は股関節を伸展させる作用を持ちますが、

内側は股関節を内旋させながら伸展させ、

外側は股関節を外旋させながら伸展させます。

 

この股関節の伸展は内旋・外旋のどちらを伴うかによって身体の動きが全く変わります。

股関節の内旋を伴う伸展では仙腸関節が、仙骨を中心に腸骨が捻じれるように動きます。

股関節の内旋を伴う場合  :仙骨 色:腸骨 矢印:運動方向

 

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股関節の外旋を伴う伸展では仙腸関節が動かず、骨盤が丸ごと回転するように動きます。

股関節の外旋を伴う場合  :骨盤 矢印:運動方向

 

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仙腸関節の動きが発生することで、小さな力で最大限の動きを発揮することが可能となり、

骨盤が丸ごと回転するように動きではロスが大きいのです。

 

つまりハムストリングス上部内側における機能を発揮させ、

股関節の内旋を伴う伸展動作”を発生させることがポイントになるのです。

 

具体的にどうすれば内旋を伴う伸展動作を実現できるのか?

こういった場合には逆転の発想をすることも手段の一つです。つまり

“股関節の外旋を伴う伸展動作が発生しないようにするためにはどうしたらよいのか?”

と考えることです。

 

外旋を伴う股関節の伸展動作は

“母指球に力を込めて地面を蹴るようにして無理やり体重移動を発生させて歩く”

という動作で誘発されます。

 

そう考えれば、逆に

“母指球に力を入れず、地面を蹴らずに体重移動で歩く”という動作によって

目的とする動作が誘発されやすいといえます。

 

この足趾に力を入れず、体重移動で、股関節の内旋を伴う伸展動作を発生させることを

股関節の“抜き”と言います。そしてこの股関節の抜きを習得するのに便利なのが

古武術で多用される“ナンバ歩き”です。

 

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しかしながら、ナンバ歩きについて

手と足を同じ方向に振り出して歩くということだけを切り取って

結果として中身のないトレーニングとなってしまっていることが多いです。

 

ナンバ歩きを介して股関節の抜きを習得するためにどのような方法をとればよいのか、

その内容はまた次回お伝えさせていただこうと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。