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2016年08月29日
大腰筋を使って歩くには“掌”がポイント
東北の青森で活動しております。JARTA認定講師の鳴海裕平です。
前回は【姿勢】に関しての話をさせていただきましたが、
*前回の記事はこちら ⇒ 「“姿勢”を良くしようとすると逆に“姿勢”が悪くなる」
今回はそれを発展させて姿勢を生かした
大腰筋を使った歩行方法についてお話させていただきます。
上手く歩くには
姿勢について、胸を張って背筋を伸ばすのが“良い姿勢”という
先入観があるということをお話しさせていただきましたが、
歩行についても同様で、“良い歩き方”というのは巷にあふれています。
多く言われているものが“胸を張って、腕を大きく振って、大股で歩く”というものです。
しかしながらこの歩き方では人体において重要な要素である大腰筋はほぼ使えていません。
では大腰筋をしっかり使って歩くにはどうしたらよいのか?
これには前回の“腰の入った姿勢”が関係します。
姿勢を生かし、歩行動作につなげるには・・・
前回、肩甲骨の間を開き臀部の余分な力を抜くことで、
それにより仙骨はたくし込まれるように内側へ動き“腰の入った”状態になる。
ということをお話しさせていただきました。
(写真左:腰が抜けている状態。 写真右:腰の入った状態。)
※説明文と写真が一致していなかったことをお詫びいたします。2016/9/1現在修正済み
この姿勢のポイントになるのは“掌の向き”です。
人の身体は掌を内側に向ける(前腕を内旋させる)と肩甲骨が開き、
それに合わせて腰が入りやすくなる(仙骨がたくし込まれる)ようにできています。
歩行動作を起こす際にも掌は関係し、
掌を内側に向けて腕を振ると
歩く際に、自然と上肢では後ろに手を引きやすくなり(伸展可動域が広がる)、
下肢では大腰筋が使いやすくなるため、足の振り出しがスムーズになります。
掌を横向き、もしくは外側に向けて歩くと、
肩甲骨が左右から中央に寄り、それに合わせてへっぴり腰になるため、
足を振りだした際に、股関節に詰まり感が生じたり、股関節痛を発症させることが多くあります。
上手く歩くことができなければ、競技につながるわけがない。
前回は姿勢についてお話させていただきましたが、
姿勢ができたところで、競技につながらなければ意味がありません。
しかし順序としては姿勢ができた後、
上手く歩くことができるようになり、
その上で競技につながります。
競技レベルでの“姿勢が悪い”“腰が入っていない”などの指導の多くで
うまくいかない原因は、選手・指導者の姿勢についての先入観や無知が関係しますが、
そもそも“歩く”というレベルで、上手く歩けていない場合が多いです。
上手く歩くことすらできていなければ、
競技においてパフォーマンスの成長が進まないのは当然です。
選手は貪欲に頑張る。トレーナーは貪欲なだけではいけない。
今回お話した内容は、歩行に関してはほんの一部分を切り取ったものですが、
これだけのことでも選手の今後を重大に左右する場合があります。
世間では良いものと言われているものが
選手の今後の選手生活に大きく脅かすことがあるのです。
選手は良いといわれるものを貪欲に取り込みます。
それが結果として悪い方向に行くことが往々にしてあります。
それを食い止め、良い方向に向けていくのが指導者やトレーナーの役割の一つです。
より多くの選手の競技人生のために、
トレーナーは良いといわれるものをひたすらに取り込むのではなく、
本当にそれが“正しい”ことなのか、常に疑い、考え、できることをやりましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。