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2014年02月11日
連続写真を用いた指導に潜むリスクとは?
今回のテーマは『連続写真でのフォーム分析/指導に潜むリスク』です。一般的に当たり前に行われているフォーム分析に潜むリスクについてご紹介します。
スポーツ関連の勉強をしたり資料を集めたりしていると、雑誌や論文などでフォームの素晴らしさや問題点、変化を連続写真で解説しているものをよく見かけます。
スポーツ現場に関わる方であれば、ほとんどが目にしたことがあるのではないでしょうか。
連続写真は、実際の現場でも選手にフォームの問題点や変化を指摘したり、目指すフォームを指導したりする際に用いられます。
たとえばこちらの投手の動画をご覧ください。
この投球動作の中で、セットポジションから投球を連続写真にすると、こんな感じになります。
瞬間瞬間の動作の状況が、誰が見ても細かくわかります。
連続写真でも連続はしていない
最近ではスポーツ現場でも、選手自身がこのような連続写真や一時停止した動画を参考にしていることが多いです。
もちろんトレーナーなどが関わるコンディショニングの場面でも、「ここで肘が下がっているから肩に負担がきている」と、連続写真を見せて指導します。
一見丁寧な解説に感じますが、実はここには非常に大きなリスクが潜んでいます。
なぜなら選手のフォームは本来「連続する動作だから」です。
連続動作は様々な要因(回旋系伸張反射や重心移動、遠心力、コリオリ力、ジャイロ効果など)が関連し合った結果、それらの要因の結果としての現象として現れています。
それなのに、その一場面だけ切り取って、「ここで肘が下がっている」と指摘されたら、選手はどう考えるでしょうか。
当然「じゃあここで肘を上げなければ」となり、無理に肘を上げるようになります。しかしこれでは連続動作の上に現れた現象ではなく、「作ったもの」となります。
わかりやすい言葉に言い換えると、これは力みです。
運動連鎖的に考えて、「力み=緊張」が連鎖を阻害することは周知の事実です。
つまりこちらが行ったフォーム指導とその練習が、全く逆の作用を及ぼす可能性があり、パフォーマンスが低下します。
これをマイナスの学習といい、投手の肩のインピンジメントなどの怪我につながることもあります。
まとめ
連続写真を用いた指導についてお伝えしてきました。
JARTAでは、選手のフォームは、様々な角度のアプローチから選手に局所を意識させることなく良い動きを誘発し、「気がついたら良いフォームになっていた」という流れが理想的だと考えています。
連続写真を用いて指導しているトレーナーの皆さま、指導をする際にはぜひ参考にしてください。また指導者の皆さまはこういう事実があることをぜひ知っておいてくださいね。