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2017年09月01日

サーフィン「テイクオフ」から考える動作分析の思考方法

関東で活動しておりますJARTA認定スポーツトレーナーの萩 潤也です。
 
前回の記事では、実際の競技動作と提供するトレーニングの繋がりを明確にすることが重要というお話をさせて頂きました。
(まだ読んでいない方はこちら→トレーニングは「手段」であって「目的」ではない
 
今回はサーフィンにおける「テイクオフ」という具体的な競技動作をテーマにし、どのように分析していくのかという思考方法をご紹介したいと思います。
 

 

<動作分析の思考方法>

競技動作を分析する上では大きく3つのポイントがあります。
 

  • 目的:その動作はどのような目的のために行われるのか
  • 運動構造:その動作はどのようなフェーズ・現象によって遂行されるのか。
  • (例 ピッチングのワインドアップ→コッキング→リリース→フォロースルー)
  • 構成要素:その動作を遂行するためにはどのような身体機能が必要なのか。

 
 
サーフィンにおけるテイクオフとはうつぶせの状態からボードの上に立つことを指します。
 
そのため一般的にはどうやったら上手く立つことができるのかという所にフォーカスされ、腕立て伏せなどの筋力強化や手足の位置などの話がよく聞かれます。
 
ですがトレーナーとして分析する上ではまず①の目的を考えてみましょう。
 
「サーフボードに立つ」ということは大きな要素の1つですが、重要なのはその先にある「ライディングに繋げる」というところまで考えることが必要です。
 
実際のテイクオフ動作中では「立つこと」ではなくその先にある「ライディング」の事を考えています。
例えば、波の割れ方やスピード、どちら側(ライト・レフト)に走っていくのか、その先はどのようなアクションを入れていくのかなどです。
 
そのためテイクオフの動作を「サーフボードに立つ」というフェーズまでで考えてしまうと、その先にあるライディングに必要な要素が欠けてしまうのです。
 
 
そのため①の目的は「ライディングのための準備動作としてボードに立つこと」と考えることができます。
 
次に②運動構造です。その動作はどのようなフェーズ・現象によって遂行されるのか。
 
これはフェーズで分けてみると考えやすいです。

このように表すことができます。
テイクオフ動作では野球のピッチングのような落下・並進運動や回転運動といった現象はありませんが、うつ伏せからスタンスまでにおいてはボード・その下にある波に対する反力を利用していきます。
 
 
そして③構成要素です。その動作を遂行するためにはどのような身体機能が必要なのかということになります。
 
テイクオフ動作では前述した通りうつ伏せの状態からボード・その下にある反力を利用して上体を起こし、スタンスへ移っていきます。
このとき、基底面の急激な変化(広い→狭い)と重心の上方への移動(うつ伏せ→立位)が起こります。
これは安定した状態から一気に不安定な状態になるということです。
ただでさえ不安定な水面上です。
この際に余計な力みが入っていたりボードや波の状態を感知できていないと、途中で転落してしまったり不安定なスタンスとなるためスムーズなライディングに繋がらないことは容易に想像できるのではないでしょうか?
 
つまり重心の感知・コントロール能力が特に求められるため、センター形成筋と言われるようなインナーマッスルが優位に働いている必要があります。
抽象的に言うと上肢では脇を効かせる、体幹部ではみぞおちの緩み、下肢では股関節の捉え、全体としてfreeな状態(動き、内外的認識力)が必要であると表現することができます。
 
具体的にはセンター形成筋である前鋸筋、大腰筋、ハムストリングスの活性化、関節としては股関節・胸郭・脊柱の可動性(単純な可動域とアクティブでの操作性)などが必要と考えられます。
 
以上のように①〜③に沿って思考することで「テイクオフ」という具体的な競技の動作分析をすることができます。
 
その後は実際に対象となる選手がどのフェーズで、どんな要素が今の課題であるのかを見極め、解決する手段としてトレーニングを提供していくということになります。
 
例を上げると、上記フェーズのオンハンドから下肢の引きつけにおいて力みのない重心コントロールが必要であると判断した場合はJARTAセンタリングトレーニングである「クレーン」を提供し、必要な部位にはアシストとして上記の筋や関節に対してアプローチなどを行っていきます。
 

 

<終わりに>

 
いかがでしたでしょうか?
 
今回はサーフィンにおけるテイクオフという具体的な競技動作を例に、どのような段階で動作を分析にしていくかをご紹介致しました。
競技動作の分析ができるからこそ、選手にはどんなトレーニングが必要なのかという繋がりが明確になります。
 
動作分析が苦手だと思われる方はまずこの流れに沿って分析をしてみて頂きたいです。
しかし必ずしもこの通りに行うだけでなく、ご自身の知識等をプラスαとして付け足していただければより良い分析ができるようになると思います。
 
JARTAアドバンスコースでは様々な動作分析を徹底して練習・習得して頂くプロセスが含まれています。今よりレベルアップしたいと思う方の参加をお待ちしております。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。
 
 
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