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2014年04月26日

コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋

人体の中には、アクセル筋とブレーキ筋があることをご存知でしょうか?今日のテーマは「コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋」です。

コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋3
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
人体には、アクセル筋の役割をする筋肉と、ブレーキ筋の役割をする筋肉があります。スポーツの場面ではその局面によってアクセルとブレーキを使い分ける必要があります。
もし間違えてしまうと選手のスピードを落とすことになり、トレーナーがそれを知らないと間違ったトレーニングを指導している可能性があります。
 

コンマ何秒を削り出すために

スポーツの世界では、コンマ何秒というスピードで勝負が決まります。
ですからスポーツで勝つためには常にアクセルを踏み続けることが重要です。アクセル筋を発揮する回数が増えるほど、スピードがあがり、相手を出し抜くことが可能になります。
 
もしアクセル筋とブレーキ筋を見分けて運動療法を組み立てることが出来れば、パフォーマンスアップに直結することは容易に想像できるでしょう。
アクセル筋とブレーキ筋を運動学的に捉えてみます。
 

アクセル筋とブレーキ筋

スピードの世界で重要になってくるのは、やはり体幹部と下肢を繋ぐ関節である股関節の使い方です。
 
股関節を引き上げる筋肉は大きく分けて「腸腰筋」と「大腿直筋」。実はこれがアクセルとブレーキ筋なのです。
同じ股関節屈曲を引き起こしますが、どちらを意識して使うかによって全く逆の作用が生じます。
 
まず、アクセル筋となる腸腰筋はどんな働きをするのか?腸腰筋の中でも更に大腰筋を使ったアクセルに注目です。
大腰筋1
 
大腰筋は最近テレビや雑誌にもよく取り上げられることもあるので、名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれません。
でも大腰筋の正しい使い方を解説できているメディアは少ないです。
 
大腰筋は小転子に付着しているため、筋の起始停止から考えると、膝関節以下に影響を与えず、下肢を脱力して使うことが可能です。
膝関節以下が脱力することにより、後に説明するブレーキ筋である大腿直筋を抑制することが出来ます。イメージとしては脱力することで、黒人陸上選手のムチのような脚が完成します。
 
更に大腰筋のアクセルを加速させる筋として「上部ハムストリングス」があります。
大腰筋の作用を高めるためには、拮抗筋の遠心性収縮が重要になります。これが上部ハムストリングスにあたります。つまりトレーニングでは、上部ハムストリングスに遠心性収縮を起こす必要があるのです。
 
一方、ブレーキ筋にあたる大腿直筋はどんな働きをするでしょうか?
大腿直筋1
 
大腿直筋は、起始が下前腸骨棘、停止が脛骨粗面で、骨盤に対して大腿骨を引き上げる動作と大腿骨に対して骨盤を引きつける作用があります。
大切なのは、筋の停止部分が膝関節についているため、大腿骨を膝の伸展作用も同時に引き起こします。
 
もし、地面に足がついているときに、大腿直筋が働くと、膝関節は伸展方向に働き、身体を後退させる動きを作ってしまうのです。ということは、本人が動こうとしているにも関わらず、大腿直筋によりブレーキをかけてしまうことになります。
 
時間にしてコンマ何秒の世界です。
でもそのコンマ何秒の世界でスポーツの勝負は決まります。
 
みなさんも、上部ハムストリングスと大腰筋の収縮をうまく利用して選手にアクセルを踏ませてみましょう!