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2014年11月29日
フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?
フィギュアスケートは採点競技です。点数は「技術点」と「演技構成点」の2つの合計から算出されています。
ここで重要になってくるのは、単純に失敗なく演技をするだけでなく、芸術的観点を考慮する必要があります。
JARTAトレーナーの田中紀行です。
今回は、私が担当しているジュニアフィギュア選手が、中部地区の予選を無事通過し、全日本フィギュアスケートノービス選手権大会に出場しましたので、サポートの際に特に注意をしたポイントを挙げたいと思います。
そのポイントをずばり挙げます。それは格定力です。
下の図は、JARTAのベーシックセミナーで格定力の説明の際に用いられる図です。
格定力は『局面に応じて、自由に身体の状態を変化させられる能力』と定義されています。
Stiffness(かたい)な状態ではなく、Free(ゆるい)な状態であること、つまり、より自由に身体をコントロールできる状態がパフォーマンスにおいて重要となってきます。
Freeな状態は筋肉の収縮と弛緩の幅が広く、ハイパフォーマンスが実現できる身体使いを意味します。必要な場面においては、しっかりと筋肉の収縮をする反面、局面によっては脱力をすることが出来るということです。
フィギュアの演技構成点は、「スケーティング技術」「技のつなぎ」「演技力」「振り付け」「音楽の解釈」の5項目で構成されているため、各項目において最適な状態を演出するためには、格定力が高いことは必須のこととなります。
技術やパフォーマンスを向上させるために、多くの場面で筋力トレーニングを選択されがちですが、筋力トレーニングばかりを推奨することは、収縮ばかりを進めることになり、結果的にStiffnessな状態を作る事になりかねません。
収縮に偏った状態は、選手のパフォーマンスを下げてしまうばかりでなく、身体のバランスが崩れやすいため、怪我に繋がる可能性もあります。
今回の中部地区の予選では、選手の格定力をしっかりと引き出すために、トレーニング時に体軸をしっかりと構築しました。
体軸を構築することで、立位(1次姿勢)が最小限の力で脱力して立つという状態になります。完成度の高い立位は、フィギュアのスケーティング、ステップ、ターンやジャンプの土台となります。試合が続くほどこの能力は影響してきます。
ジュニア世代の選手にとって、このシンプルなトレーニングの繰り返しが、後に選手の能力を開花させることになります。
トレーナーとしてより良い方向に選手を導く努力は、選手だけでなくトレーナー自身も常に探究していかなくてはいけませんが、シンプルな中に常に答えはあると思います。
(堀見選手:スペリオール愛知FSC)
JARTAのコンセプトは、そのようにシンプルでとても重要な内容になっています。興味のある方は是非ベーシックセミナーを受けてみてください。