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2014年05月07日
超回復とマイナスの学習
多くのスポーツ選手がなぜ必死に激しい筋トレをするのか、考えたことありますか。今回はトレーニングの一場面に警鐘を鳴らしたいと思います。
がむしゃらにトレーニングを行い、終了の合図とともに床に倒れ込む、そんな光景はメディアやスポーツ現場では大変よく目にします。
「すごい努力してるなぁ」
多くの人はそう考えます。
確かに選手たちは本当にとんでもない努力をしています。しかし、そこには大きな落とし穴が潜んでいるのです。
ヘトヘトに疲れるほどに様々なトレーニングに没頭する選手たちについて、私たちトレーナーの立場にある者が考えるべきことがあるのです。
「美しい」トレーニング
- パフォーマンス(パワーやスピード)を上げたい
- ケガを予防(回復)したい
- 身体を大きくしたい
- 相手を威圧できる見た目を作りたい
選手たちが必死の形相でトレーニングを行う目的は、だいたいこれぐらいでしょうか。
選手たちは自分の競技力を高めるために、とても真面目に、強い想いをもってトレーニングに取り組みます。
筋力の発揮に全精力を傾け、ヘトヘトになるまで自分を追い込み、筋肉に負荷という刺激が加わったことを歓迎します。
彼らは「超回復」といわれる、筋肥大に期待します。
筋繊維を痛め、回復する際に肥大して太くなる現象です。指導者側も、そこまで追い込んでいる選手を見て、多くの場合「頑張ってるな」と評価します。
多くのメディアでも、そういった場面を美しいものとして紹介します。「努力」のイメージとしてわかりやすいですからね。
そして一般的にもトレーニングのあるべき姿として、身体がミシミシいうような状態まで追い込むトレーニングが良いものとして、「常識」となっています。
しかし冒頭で申し上げたとおり、ここには大きな落とし穴があります。
「常識」とされているトレーニングの方法や実施する際における問題点は、JARTAのベーシックセミナーやアドバンスセミナー1を中心に、様々なところで説明していますが、ここでは、その一部をご紹介します。
筋力を発揮することだけに全力を傾ける形式でトレーニングを実施すると、外的認識力・内的認識力が低下してしまうという点です。
マイナスの学習
外的認識力とは、自分と相手選手・自分とボール・自分とゴールなどの関係性を認識する力のことです。
そして内的認識力とは、重心位置や身体の状態など、自分の状態に対する認識力のことです。
「筋力を発揮すること」にフォーカスして行う形式のトレーニングでは、これらは当然発揮されない状態で筋力が使われることになります。
これは実際の競技で発揮されるべき運動様式とはかけ離れています。(ウエイトリフティングなど一部競技を除いて)
ほとんどの競技は、筋力だけを発揮すればいい結果が得られるというものではありませんよね。
例えばサッカーのシュートであれば、蹴るタイミングやディフェンダー・ゴールキーパーの位置、ボールの位置、ゴールとの角度など、認識すべき要素はたくさんあります。
人間には高い学習能力があるので「筋力発揮だけに集中」というトレーニングにより、どんどんこの様式での身体の使い方を覚えてしまうのです。
残念ながら「トレーニングのときだけ」とはいかないのです。
このように、トレーニングによって実際の競技能力が低下してしまう現象を「マイナスの学習」といいます。
JARTAではこれらの事象を踏まえて、パフォーマンスに直結する様式でのトレーニングである「統合化トレーニング」を提唱しています。
筋トレそのものは必要なものであり否定しませんが、実施する際の「状態」「方法」に関してトレーナーや指導者の立場にある者は、もっと慎重に、繊細に指導すべきであることは強く主張しています。
今回お伝えしたトレーニング理論は、ベーシックセミナーの冒頭で詳しくお伝えします。ご興味、ご関心がございましたら、ぜひJARTAベーシックセミナーにご参加ください。
⇒ JARTAベーシックの詳細