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2014年08月22日
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート
今回、JARTAトレーナーとして、京大女子ラクロス部のサポートに帯同させていただきましたのでご報告いたします。
今回のトレーニングの概略は以下の通りです。
実施日時:平成26年7月2日(水) 9:00~14:00
場所:京都大学農学部グラウンド
参加者:選手;女子ラクロス部 約20名、学生トレーナー;MAST 約5名、JARTAトレーナー;灰方、枝次、藤田
内容:全体トレーニング 約45分、グループ指導&個別コンディショニング 約4時間
まず全体を通した感想ですが、
「現場では想定外のことが起こる」
ということを、身をもって経験しました。
事前に聞いていたチームからの要望はパフォーマンスアップとのことだったのですが、前日の夜になってチームに故障者が多発しているという情報が届き、急遽用意していた目的やプランを組みかえることになりました。
チームからの事前の要望
① 切り返しの早さ
② 50分間走りきる持久力
③ パスの距離・球威
当日の選手の状態
12名の故障者の連絡あり(シンスプリント、捻挫、腰痛、股関節痛、頚椎捻挫など)
目的
- 走力を上げる(切り返しの早さ、持久性)
- 効率の良い上肢の使い方の獲得
- 障害予防の理解、セルフケアの獲得
目標
歩き方、走り方など、選手に何か一つは変化を実感してもらう
今後、練習のウォーミングアップやセルフで取り入れる内容を獲得してもらう
このような状況と、ラクロスの競技特性を考慮した上で、優先して獲得してほしい身体意識をセンター(3軸)、裏転子、ベスト(肩肋分離)、インサイドジンブレイドとしました。
全体練習では、インナースクワットのトレーニングを中心に、一次姿勢修正の意味、3軸の位置、ゆるむことの意義、アクセル筋とブレーキ筋などを説明しながら展開しました。
故障者の状況を見ながら、また全体の理解度を見ながら進めたため、内容としては「センター」の解説が中心となり、予定していた「裏転子」については簡単な説明とレッグショットのみになりました。
選手の大学講義の関係で、予定よりも全体トレーニングが短かったこともあり、予定を変更しました。
選手の反応としては、「センター」についてはかなり理解できたようで、その場でインナースクワットの動きも変化していました。ただ、炎天下のグラウンドで足元も人工芝と暑いコンディションであり、最後の方は疲労も感じられました。
個別コンディショニングの時間では、故障の程度が大きい選手を中心に3名のトレーナーで対応しました。
また、並行してシンスプリントなどの足部障害の選手を集めて、ミニグループでのセルフケアの説明も行いました。
故障者が多く、またそれぞれの症状が重かったため、各トレーナーが4~5名を担当する必要があり、かなり時間を要しました。
ただ、全体トレーニングで大枠を説明してあったため、軸の理解などはできている選手が多く、軸の誘導だけでもかなり姿勢や歩行が変わるのを体感してもらえました。
以下、今回のトレーニングでの課題と今後について考えてみました。
(1)全体トレーニングの課題
- 状況に応じて変えられるよう、指導プランを複数作っておく必要があった。
- 「障害予防」にフォーカスしすぎたため、パフォーマンスアップに繋がる説明が少なくなり、後から個別場面で補足が必要であった。
- 「足が早くなる」「リーチが長くなる」などの選手が求めているキーワードをしっかり見つけ出して使っていく必要があった。
- 前に出ての説明1名、サポート1名、オブザーバー1名の構成だったが
- 事前の打ち合わせや共通認識の不足を感じた。
- 目標をもう少し具体的に、数値化するなどして決めておいた方が良かった。
(2)個別コンディショニングの課題
- 個別コンディショニングの時間では、シンスプリントの選手が多く、痛みの軽減を図ることができなかった。
- 選手との話で共通の認識(私自身の目標設定)が作れていなかった為、どのタイミングで終了するか悩んだ。
- 内的認識力を感覚で理解している選手と理解できていない選手がいた。
- 理解していない選手に対しどのように説明するか悩んだ。
- セルフケアの説明の時間があまり取れていなかった。
(3)運営上の課題
- 実施場所が炎天下のグラウンドであったため、選手にもトレーナーにも体力的な負担が大きく、集中しにくい環境であった。
- 開始、終了、休憩のタイムスケジュールが不明確であったため、個別コンディショニングがかなり長時間になってしまった。
(4)今後の継続に向けて
- 選手の中で、一次姿勢の修正、障害予防について理解が進んだと思うので、次はパフォーマンスアップにフォーカスしたトレーニングに移行させたい。
- 特に、サイドの切り返しで必要になるインサイドジンブレイドや、クロスを持って走るために必要となるベストの意識などは、獲得することでパフォーマンスアップに繋がると思われる。
- 通常練習のトレーナーとして関わっているMASTとしっかり連携をとり、一貫性のあるトレーニングの提供、選手のケガの状況の把握をする必要がある。
- 継続して関わるならば、前回担当したトレーナーとの間で、効率的な引継ぎ方法が必要である。
JARTAトレーナー 灰方、枝次、藤田