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2020年06月24日

最高の結果の定義をあなたは持っていますか?

 

文:赤山僚輔

 
『自分の中の一番か、大会での一番か。』
これは記録を目指す競技者ではなくても、一度は自分に問うたり問われたりしたことがあるのではないでしょうか?
 
あなたは自分史上最高のパフォーマンスを発揮しての銀メダルと自己ベストではないパフォーマンスでの金メダルどちらが嬉しいですか?
 
これは球技など対戦系の競技であればイメージしにくいので、今回は私がサポートする空手道競技の”形”を例にとって話を進めていきたいと思います。
(陸上や水泳、体操など記録や採点競技に関わる方や選手は重ね合わせながら読み進めてください)
 
現在空手道競技の形においては採点性が用いられています。
数人で競技を行い、点数の多い選手が勝ちとなります。
 
繰り返し練習を積み重ねてきた選手たちは自分の演技に対して、過去の自分のパフォーマンスと比較し出来栄えを自己評価します。
またその採点によって過去最高の出来であったかを客観的な材料とします。
 
例えばインターハイの決勝戦。
今まで出したことがない高得点と過去最大のパフォーマンスを発揮して銀メダルに終わった時と
点数はあまり伸びず、パフォーマンス的にも満足がいかない内容でも金メダルに終わった時
あなたならどちらの結果を求めますか?
 
どちらの選手で居てほしいと願いますか?
 
この話を知った新聞記事ではかつてのオリンピック金メダリストは自己ベストでの銀が良いと答えたそうです。
 
しかしインタビュアーの選手はオリンピックで日本新の銀メダルで終わり、金メダルが欲しかった、悔しかったとおっしゃっていました。
その記事を読んで、自分との戦いに勝つ、自己ベストの更新や常にライバルは自分自身であるとそれこそ自分に対して問いかけ続けていた赤山にとっては考えさせられるエピソードになりました。
 
いくら自分自身との戦いに勝利し過去最高の結果を残したとしても、大会や試合の結果など相対的な順位において劣った時、”悔しい”という感情がやはり当事者としてはでてくるのだろう。
 
だとすれば自分との戦いに勝つというある意味綺麗事だけではなく、勝負にこだわり、一番にこだわり、金メダルにこだわるような時期やフェーズがあっても良いのではないだろうか。
 
そのように再考のするきっかけになりました。
 
話を空手道に戻します。
 
もしサポート選手が不本意なパフォーマンスだったとしても金メダルを取って帰ってきた時、その場に自分が居たとしたらどのように声かけをするだろうか。(本人は不満げであるという前提で)
 

(昨年の国体では日本一になりましたが全員が満足のいくパフォーマンスであったわけではありませんでした。)
 
そのように考え準備をしてみました。
 
『この大会の一番は間違いなく〇〇選手なんだから、そこは自信を持って前を向こう。そうじゃないと敗れた選手はもっと悔しい思いをしているはずだよ。過去最高の自分を更新する機会はまた次の機会にチャレンジすればいいんじゃない。』
 
こんな風に言うのだろうかと思案しています。
 
これはそういった場面でこういう風に言うべきだ、言うのが正解だという事を伝えたいわけではありません。
 
時にスポーツトレーナーはパフォーマンスアップだけでなく試合後のフォローや心身のサポートに対しても求めらえることがあります。
 
そういった時に、選手がどういった心情になる可能性があるかと言う事をいかに想定し、準備をしておくのか。
 
これこそがこのような視点を共有する意義であると感じています。
 
選手がスポーツトレーナー自身が想定していないリアクションをしているときには、どのように声かけして良いか分からず選手やチームを余計に困らせてしまうかもしれません。
 
学生スポーツであればそういった状況や姿勢を後輩たちはみていますし、最後の大会でなければそういった時のコミュニケーションは最初の次へのスタートでもあります。
 
私自身は勝っても負けても、試合後に選手に対してどのような関わり、声かけをするかについて常に熟慮しています。
 
それは試合後に選手と同じように感情的になってしまって、何も言えず、何も伝えられず、そのまま引退して言葉を交わすことがなくなった選手を何人も経験したからこそ避けては通れないスポーツトレーナーにとっての課題である認識しているからなのです。
 
あなたは仮に自己ベストで銀メダルだった選手が目の前にきた時に、どのように声かけをしますか?
 
そんなことを考えるよりも解剖の勉強の方が好きだと言う方もいるかもしれません。
 
しかしスポーツ現場はこのように正解のない、問いが無限に転がっています。
だからこそ、その状況を想定して最善の準備をする事こそに意義があると痛感しています。
 
 
多くのスポーツトレーナーとこんな”たられば”の話をゆるーくできる機会があればよいのになと感じる今日この頃です。
 
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
シビアな勝負が少ないこの夏、しっかりと来たるべく未来に向けてイメージだけでも準備をしておきましょう。

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