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2014年03月21日

JARTAイタリア研修レポート part2 日本の育成段階との違い

インテルの育成選手が練習する施設を見学させていただいたので、その育成システムで特に印象に残っている点についてご紹介します。
またこのようなチームに新しいトレーニングなどをプレゼンする際に重要なことを書いていきたいと思います。

JARTAイタリア研修レポート part2 日本の育成段階の違い1
JARTAテクニカルディレクターの山岡俊也です。
インテルでは日本の育成システムと違い、ひとりひとりの選手ごとに、そのカテゴリ(年代)毎に明確に目的や目標をかかげて、しっかりと育成するシステムになっていました。
 
その特徴として、各カテゴリ(1学年毎)ごとの人数が16人程度と少数となっています。
 
少人数であることのメリットとして、指導者の目がひとりひとりに行き届き、常に選手が何をわかっていないかを理解しながら指導にあたることができます。
日本においては部員40、50人に対して指導者が1人なんてことも多くありますよね。この人数のひとりひとりが何をわかっていないのか、理解することは難しいことです。
 
JARTAイタリア研修レポート part2 日本の育成段階の違い2
 
インテルのように少人数でできるのは、下部組織からいい選手をトップチームに輩出し、その選手が活躍することでチームにお金を落としてくれるというビジネス的な側面があるからです。
この施設では8~19歳までの選手がプレイをしていますが、基本的には選手が月謝などを払うことはありません。中には報酬を得てプレイしている選手もすでにいるくらいです。
 
またインテルでは直属の下部組織のほかに地域に提携チームがあり、いい選手はそこからインテルへ加入させるなどのシステムもあるようです。
インテルの下部組織からトップチームにあがるのは簡単ではありませんが、トップチームにあがるチャンスは下部組織だけでなく提携チームにも広がっており、すごく夢があるシステムだと感じました。
 
JARTAイタリア研修レポート part2 日本の育成段階の違い3
 
練習や試合において、どのカテゴリにおいても共通している目的としては、どのような形でもいいからゴールを決めるということです。
ゴールを決めるまでの過程を教えるのではなく、選手自身に自由に創造させて行わせるということを重要視していました。
 
これに対して日本では特にゴールまでの過程を教えることが多く、そこを重要視していることがほとんどです。
そのため、パスやドリブルを自由に使ってからシュートを打つというような課題練習などにおいては、日本人はどのようにパスやドリブルをして運べば良いのか決まった型を示さないと出来ないことが多いです。
 
このような指導が一概に悪いというわけではないですが、過程がどれだけキレイにいっても結果的にゴールにつながらなければ意味がありません。
 
このような考え方は正に我々スポーツトレーナーがチームスタッフ、選手にプレゼンする際にもすごく重要になってきます。
具体的にいうと、プレゼンも事前準備で型にはめすぎてしまうと、様々なシュチュエーションの中で状況が変わったときに対応出来ず、目的としたところが伝わらないということがあります。
目的は明確に、相手の求めている要素も分析しながら話す内容を変化させるということが重要です。
JARTAイタリア研修レポート part2 日本の育成段階の違い4
 

まとめ

少し長くなりましたが、インテルの育成システムについて日本の多くの育成システムとの違いをあげさせていただきました。
そもそものバックグラウンドの違いもありますので、一概に同じように取り入れればいいというわけではありません。
 
しかしサッカーだけでなく全ての事象に対して、目的達成までの過程にこだわりすぎて、そもそもの目的を見失うということがよくあります。
そういう意味ではインテルの育成システムにあるゴールまでの過程は自由にさせ、ゴールを決めるという目的を見失わないことの重要性を感じます。