【選手よりも熱いエネルギーを】

認定スポーツトレーナーの伊東尚孝です。

 

9月14日〜19日にイタリアへ旅立ち、5日間の滞在で自分自身の成長を肌で感じることができました。

主観ではありますが、僕が成長したと感じることができた過程を報告させていただきます。

 

 

 

【自分軸を意識しすぎた結果】

 

14日にイタリアへ着き、翌日15日にCalcio Fantasatico留学生へのトレーニング指導を行いました。

選手に困っていることや、伸び悩んでいることを聞き、それらを踏まえた上でトレーニング指導を行いました。

しかし、トレーニングの方法を「いかにうまく伝えられるか」にベクトルが向いてしまい、選手一人ひとりに気を配ることができませんでした。

 

 

皆さんは、相手に「伝える」と「伝わる」の違いを区別できますか?

スポーツトレーナー界だけでなく、もはや社会人にとって必須のスキルだと思います。(もちろん学生でも)

「伝える」は、自分から一方的に相手へ意見を言うこと。

「伝わる」は、自分の意見を相手が理解し、納得すること。

(ここでの理解・納得の意味は省略します。)

 

言うまでもなく、トレーナーに必要なのは後者です。

トレーニングの方法を「どのように伝えるか」ではなく、「伝わるためにはどうするべきか」

このような言葉の変換が重要です。

 

 

「いかにうまく伝えられるか」=「自分軸

 

そう思っていた時点で、もう選手には伝わりません。

最初は興味を持って聞いてくれていた選手も、次第に距離が離れていくことは明確でした。

日本人は、分からなくても分かっている“フリ”をすることが得意ですが、明らかに態度が変わることを目の当たりにしました。

イタリアで勝負しようとしている留学生にとって、分かってる“フリ”なんてするはずもなく、自分の力不足を痛感しました。

 

“悔しい”

 

選手のために行っていたはずが、言葉の通じる留学生ですら伝えられない・・・

この経験が、次へのステップに繋がったと今は感じています。

 

 

 

【自然と湧いてきたエネルギー】

 

2日目、3日目と多くのチームや施設を周り、同じく参加している認定トレーナーの指導を見たり、中野代表のプレゼンを見たりして過ごしました。

そして、4日目にSAVIO U-16サッカー選手と、Virtus Roma・バスケット選手への指導を行いました。

 

初めての通訳を通しての指導でした。

言葉の通じる留学生相手でも伝わらなかったことを踏まえて、言葉の通じない相手にどうやってプレゼンするべきか。

仮に自分がプロ選手で、海外から見知らぬトレーナーが指導しに来た場面を俯瞰し、

「どうすれば心を掴まされるのか。」

 

そう考えていると、自然と胸回りが熱くなっていくことに気付きました。

 

「これがエネルギーか…」

 

JARTAのセミナーや合宿などで聞いてきた、選手よりも熱いエネルギーを持つことを実体験する瞬間でした。

どんなに効果的なトレーニングを指導されても、そこに選手がいなければ、それはただの“すごいトレーニング”で終わってしまう。

選手のパフォーマンスを向上させたいという熱量を感じさせることで、選手はそのトレーナーの言うことを聞いてみよう、と思うはず。

 

 

そうなれば言葉が通じなくても

威圧感がものすごいプロ選手相手でも

 

「その場にいる選手のため」と思うエネルギーを持つことで、動じることなく指導できました。

 

その結果、何が起きたか。

まず周りが見えるようになる。それは、選手の一挙手一投足もですし、サポートしてくれている認定トレーナー、通訳をしてくれる現地の日本人スタッフ。

見えてきたことで、「伝えたいことが伝わる」ためにはどうすればいいか。

現場で目まぐるしくおこる変化に対応することが自然にできるようになってきます。

そうすると自然と選手やコーチが、通訳ではなく“僕に”訴えかけてくれるようになりました。

 

初日の留学生の選手たちは淡々とトレーニングをこなしていて、それに関する質問などを訴えかけることはありませんでした。(むしろ距離が離れていく一方)

これは決して日本人だからではなく、そこにいるトレーナーに「選手に対する熱いエネルギー」が存在していたかどうかの違いだと思います。

選手やコーチは、そのエネルギーを敏感に感じ取ります。

初日の僕には、それが欠けていて、選手たちは無意識に見抜いていたのでしょう。

 

つまり、今回の指導では選手やコーチが僕のエネルギーを無意識に感じ取ってくれたのではないかと思います。

でなければ、イタリア人選手やコーチは言葉の通じない僕にわざわざ声をかけたりはしなかったでしょう。

 

 

大事なのは、目の前の選手を良くしたいという「相手軸」の感覚でした。

 

 

 

【まとめ】

 

トレーナーとしての本質に気付かされた5日間でした。

後から考えると当たり前のようなことばかりですが、それを実体験するか否かでは、雲泥の差があります。

頭で理解しているつもりに気付かされ、そんな自分の伸びしろをはっきり示されます。

イタリア研修へ参加することが、トレーナーとしてのレベルアップに繋がる大きなきっかけになったことを確信してます。

この経験を糧に、選手のために還元できるよう成長していきたいです。

 

ただ、一つだけ心残りがあります。イタリアで頑張っている日本人留学生。彼らに。彼らのためにもう一度一緒にトレーニングがしたい。その思いを忘れずに過ごすことがこれから私がしなければいけないことです。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

伊東尚孝