NEWS(最新情報)

2019年05月26日

バレー選手に重要な肩の機能を最大限発揮するために

文:高島公平

 
バレー選手で肩を痛めている人、肩の障害を予防したい人、サーブやスパイクの威力を高めたい人やレシーブが上手くなりたい人向けのトレーニングを紹介します。
 
バレー選手では、肩の調子を悪くする方や、肩を故障した経験を持つ方が多くいると思います。
 
 
バレー選手にとって肩の機能は重要なものになります。
攻める時のサーブやスパイクではもちろん、守る時のブロックやレシーブにおいても肩の機能は非常に重要な位置付けにあります。

 
 
攻める場面において、サーブやスパイクでは、どれだけボールに力を伝えられるか、コースを狙った時に負担なく肩を動かせることができるか、どれだけキレを出せるかということが必要です。
また、緩急をつけるための身体の使い方が相手に悟られずできるかということも選手には要求されます。
 
守る場面でのブロックやレシーブでは、相手のサーブやスパイクの威力に負けず構えを崩さずに上肢を固定できるか、セッターにボールを返すためにボールの勢いを弱めることができるかということが必要になります。
 
 
 
では、実際肩の機能を高めるためにどういったトレーニングをしていますか?
 
 
筋力をつけるためのトレーニングとしては、マシンを使ったもの、バーベルやダンベル、チューブなどの道具を使ったもの、腕立て伏せなどの自重を使ったものがあります。
 
筋力をつけるということにフォーカスした場合、マシンや道具を使ったトレーニングを行なうことは必要になってきます。
 
 
しかし、バレーでは、肩や腕の筋力だけでなく、上肢と体幹を連動させて使うことができるかということが必要になります。また、下肢と体幹を連動させることも上肢の機能を最大限発揮することに関わってきます。
 
 
筋力アップが図れたが、思うようなパフォーマンスができていない時や肩の調子が良くならない場合は、体幹や下肢と連動させて使えているかどうかプレーを確認していく必要があります。
 
 
 
では、これから肩の機能を高め、体幹や下肢との連動性を高めるために有効なトレーニングを紹介します。
 
 
 

  • 立甲

立甲はJARTAトレーニングの1つです。
 
立甲とは、肩甲骨を自由に動かすことができるようになることです。
肩甲骨を自由に動かせるようになることで、スパイク動作に伴う腕の動きに合わせて、肩甲骨が動くようになり、肩の負担を軽減させることのできるポジションを維持することができます。
また、肩甲骨周辺の筋の硬さが取れることにより、上部体幹の動きが出やすくなり、肩や腕の力だけでなく体幹から生み出される力を上肢に伝えやすくする効果もあります。
 
それだけでなく、力みで肩が上がりやすくなることも防止でき、スパイク動作での腕の振りをスムーズ出すことも可能となります。
レシーブにおいては腕を安定した状態で保持することも可能となります。
 
 
バレー選手にとって、攻守どちらの場面においても必要な機能を高めてくれるトレーニングです。
攻守のレベルアップには必須のトレーニングであり、上肢と体幹を連動させるためには獲得したいトレーニングとなります。
 
また、立甲は一次姿勢(立位)を整えるために有用なトレーニングであるため、バレー選手だけでなく様々な競技の選手にとって重要なトレーニングとも言えます。
 
 
 

  • ダウンドックのポーズ


 
ダウンドックのポーズは、ヨガでもよく用いられるポーズの1つです。
 
上肢と下肢でバランスを取るため全身の適度なトレーニングとなります。
肩周りや背部・下肢のストレッチ効果があり、鳩尾や背部を緊張させずに取り組むことで、肩や脊柱、股関節を捉えやすくするトレーニングにもなります。
 
また、自重のみの負荷となるため、筋力が不足している成長期の子どもにも負担なくできるトレーニングです。さらに、肩を痛めた選手にも負担の少ないトレーニングと言えます。
それだけではなく、十分に筋力のある選手にとっては、自分自身の身体のどこが力みやすいのか、どこの力が入りにくいのかということや重心がどの辺りにあるのかといった内的認識力を働かせやすいトレーニングにもなります。自分自身の身体の状態や力みやすい部位、力の入りにくい部位などを認識することでプレーの質を高めていくために役立ちます。
 
 
 

  • コモドドラゴン


コモドドラゴンは、体幹と上下肢を連動させるためのトレーニングです。
 
ワニやトカゲなどの爬虫類の動きです。上肢と下肢を動かすだけでなく、その動きに伴い体幹の動きも出ない限りはスムーズな動きにはなりません。
体幹を固めることはせずに、上肢と下肢の動きを妨げることのない程度の固定力を必要とします。
また、低い位置で重心を維持しつつ、前方へ進んでいくため、体幹と上下肢の連動を高めるだけでなく、負荷量も高くなるトレーニングとなります。
 
そのため、上下肢の筋力トレーニングや体幹トレーニングの要素もあるトレーニングです。
 
 
ジャンプサーブを打つ選手やスパイクを打つ選手は、下肢で蓄えた力を体幹と連動させ上肢に伝えていくことで、さらにボールに力を伝えることができるようになります。
肩や腕の力だけに頼ることをせずに、より力強く打つことができ、肩の負担を減らしていくことに繋がります。
また、空中でボールコントロールが必要となる場面やボールに合わせて身体を動かさないといけない場面での不必要な身体の力みを無くしていくことにも繋がります。
 
 
バレー選手にとって肩の機能を高めていくことは、プレーを高めていく中では必要なことになります。
トレーニングと言えば、まだまだ筋力トレーニングをイメージすることが多いと思います。
そこで、今回は筋力以外の要素を高めていくことで、肩の機能を最大限に発揮することができるということを知ってもらい、今後のトレーニングに活かしてもらえればと思います。
 

最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
JARTA公式HP
https://jarta.jp