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2014年05月22日

JARTAトレーニングのリハビリ現場での実践

今回はJARTAで学んだトレーニングをリハの現場で実践し効果を実証できましたので報告させていただきます。
はじまして。JARTA認定スポーツトレーナーの金丸 了と申します。福岡で作業療法士をしており、作業療法士としての経験は10年目になります。
 
私はスポーツ現場でのトレーナー経験はありませんが、JARTAのトレーニングはリハビリ現場でも十分活用できるのではないかと考え実践してみました。
 
対象の患者さんは障がい者支援施設におられる20代の女性です。軽度の身体障害と軽度の知的障害があります。(※ご本人様に掲載のご許可はいただいております)
身体能力は高く、昨年より障がい者スポーツの100mの選手となり、地域の大会で昨年は2位の成績を残されています。
 
本人の悩みとして、以前より運動後に肩から腰部、大腿部にかけての痛みの訴えと、時折肩こりによる頭痛と吐き気を訴えていました。
相談を受けまして、当院でリハビリ開始となりました。
当初はストレッチや物療で対応していましたが、改善が見られないため、思い切ってJARTAで学んだトレーニングに切り替えました。
 

JARTAのトレーニングの効果

トレーニングとしては、脊柱スパイラルストレッチ、鳩尾(みぞおち)とウナの意識、大腰筋トレーニング、立甲とインナースクワットを行いました。
 

評価

ボディイメージが悪く、一次姿勢も崩れており体の軸をうまく捉えられていない状態でした。
そのため座位や立位でも、常に体のどこかが力んでいる状態で疲労し易い状態で、特に歩行や走行時に肩から腰部にかけての力みが強い状態でした。
 
また、リラックスができず常に全身を固めた状態で、柔軟性に欠け格定力も低い状態でした。
※ 格定力:局面に応じて身体の状態を最適化できる能力。JARTAセミナーで学べます。
 

体幹の柔軟性の改善目的として

鳩尾と肩肋面トレーニング及び脊柱スパイラルストレッチを行いました。続いて立甲及び四足歩行を行いました。
訓練が進むにつれて肩甲骨周囲の筋の固さがとれ柔軟性が出てきました。また大腰筋なども緩み腰部の固さが取れてきました。
その結果、頭痛や肩こりも徐々になくなっていきました。
 

立位でリラックスできる姿勢作り

今回の治療で重要だったのは立位、つまり一次姿勢のトレーニングです。一次姿勢は、運動を考える上で必須の考え方で、全ての運動の基本となります。
一次姿勢ではウナ(=脛骨直下)に荷重できる必要があります。
 
立位で軸の意識ができてきたところで、さらにインナースクワットを行い、しゃがみきった位置でも力まない様に姿勢作りの訓練を行っていきました。
JARTAトレーニングのリハビリ現場での実践2
 
 

経過

週2回の訓練を1か月行った時点で肩甲骨周囲から腰部にかけての筋肉の張りや痛みはなくなり、リラックス出来るようになりました。
インナースクワットも力まずに出来るようになりハムストリングスや下腿三頭筋の痛みも消失しました。
 
局面に応じて力を入れたり抜いたりが出来るようになり体の使い方が徐々にできるようになり身のこなしが軽くなりました。
本人も『走りやすくなった』『走った後の痛みや疲れがなくなった』と言われています。そして実際に走るスピードも速くなりました。
 
また走った後の疲れや痛みが出なくなったので、運動をするモチベーションアップにもつながっています。
 

まとめ

JARTAの手技やトレーニングは、リハの現場でも十分に通用します。
ただし、相手に対してのリスク管理や意味を理解してもらえるための説明能力は必要となりますので、自分自身も更にしっかりと理解して活用していく必要があると感じました。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
 
JARTA認定スポーツトレーナー
作業療法士
金丸 了