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2014年01月29日

JARTAトレーナー活動報告|プロ野球選手の自主トレ帯同

年明けより、JARTAのトレーナーで、プロ野球の西田直斗選手の自主トレに帯同してきましたので、その様子をご報告申し上げます。
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今回の自主トレにおいて西田選手からの依頼内容は、
「今シーズン1軍で活躍できる身体づくり」
です。
 
西田選手は、チームの合同自主トレの動き次第で一軍キャンプに残れるかどうかの状況にあったため、他の選手たちよりも動ける状態でチームの合同自主トレに入っていく必要がありました。
 

トレーニング戦略を立てる

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まず西田選手の昨シーズンまでの動きを分析し、現状の課題と長所を明確にしました。
 
そしてトレーニングメニューを組んでいくわけですが、ここで肝腎なのが、

目的・期限(期間)・程度

という3つの枠組みとその要素を明確にすることです。それがなければ優先順位もトレーニング戦略も立てられません。
 
今回のケースでは、
目的1:1軍キャンプに残ること。
目的2:1軍でシーズンを通して活躍すること。
その関連要素

  1. チーム自主トレの段階で他の選手よりも動きや仕上がりの面で目立つ。首脳陣にアピールする。
  2. 昨シーズンまで課題とされた動きを改善する。
  3. 選手としての長所を伸ばす。強調する。

としました。
期限と期間の設定は、
期限1:自主トレ帯同の4日間
期限2:チーム自主トレ開始日まで
期限3:1軍キャンプ開始日まで
期間:1シーズン
としました。
最後に程度は、
程度:チーム自主トレ開始日の段階で、昨年同時期を10としたら15ぐらい
その関連要素

  1. その要素:ダッシュ力、送球力、打撃力、守備力
  2. その要素の下層にある要素:身体の連動性、野球における重要部分の柔軟性と使い方などなど
  3. さらにその下層にある要素:立位姿勢

このような枠組みにまとめました。
 
まずは目的を明確にし、すべては目的を達成するために序列を考えます
 
本来の手順としては、目的に関連する要素をすべて挙げ、その中で目的に対する優先順位を決めてゆく作業になります。関連要素は50〜100は挙げたいところです。
ここまでできると、次はそれを達成するための戦略と手段の構成に入ります。
今回私が直接関われるのは自主トレ帯同の4日間、その期間において全ての要素の中から優先順位を考えながらトレーニングメニューを構築しました。
当然、その際にはプロの一軍レベルの野手がハイパフォーマンスを発揮するために必要な要素が何なのかも同時に把握しておく必要がありますので、そのあたりはお忘れなく。
 
ここまでがトレーナーなら「当たり前」としたい事前準備です。
 

トレーニングは必ず選手に「上達」を感じさせる

トレーニング初日、私の準備した内容を西田選手やサポートで入ってくれたJARTAトレーナーたちと確認しトレーニングを開始しました。

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事前準備がしっかり出来ていれば、当日は選手の状態や課題トレーニングの出来具合をみながら微調整をしてゆくだけです。
終始和やかな雰囲気でトレーニングを実施することができました。
 
日程後半には、初日にできなかった動きが出来るようになったり、動きの質が良くなってきたりといった現象が見られるようになってきました。
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本人も身体が変わってきたという実感があるとのことで、目の色が変わってきました。リラックスと集中のバランスも良かったです。
 
この時期、西田選手に中心的に行っていただいたトレーニングは
「JARTAセンタリングトレーニング」の基礎版です。

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野球のパフォーマンスにおいて重要度が高い部分の状態を整え、さらに整えるだけでなく、「使い方」の学習も進めました。
 
強化のフェイズでは、まずは身体の軸づくりと身体や環境に対する認識能力を高めることを前提として作り、その上でフィジカル系の強化トレーニングを行ってもらいました。
強化トレーニングであっても決して身体を硬くする類いのものであってはなりません。
(※このあたりの理由は、JARTAコンセプトをご参照下さい)
 
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その間も自分の身体がどのような状況にあるのかについて、常に意識してもらいながら行うよう課題を加えていたので、身体だけでなく脳疲労も起こります。
選手にとってはとても大変な作業ですが、4日間、しっかりこなしてくれました。
 

どんどん上達させることでモチベーションを高める

帯同期間、常に私が意識してきたことは、選手に「上達を実感させる」ことです。
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難しいトレーニング課題に対して、ひたすらそれを繰り返しているうちに出来るようになるのは当たり前ですし、そんな方法は誰でもできます。
ただし、とても時間がかかりますし、選手のセンスに依存する度合いが高すぎます。
 
重要なことは、「できない原因と要素を見つけて、必要な刺激を入れてあげることで動きを変えてあげること」なのです。
時間をかけるべき練習は他にもたくさんありますし、すぐに上達させられる動きはさっさと獲得させてあげるのがトレーナーの腕の見せ所ではないでしょうか?
そうすると選手は出来なかった動きをどんどん獲得できるようになり、上達を楽しんでくれるようになります。当然モチベーションも高まります。
 
トレーナーはトレーニング指導で選手のモチベーションを上げられるのです。選手のモチベーションは、決して言葉を使って高めるだけのものではないのです。
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先日発表された沖縄県宜野座村で行われる一軍キャンプメンバーに、西田選手は見事名を連ねることができました。
 
あるスポーツ新聞の紙面に書かれていた「若手野手から大抜擢」という言葉が印象的でした。
 
まだまだスタートラインに立っただけですが、大きなチャンスになってほしいです。
西田選手の今シーズンのご活躍を期待しております。