井上穣


 大学でアメリカンフットボール部に入り、体作りの重要性を学んだ。ケガをしないよう、当たりに負け ないよう、速い球が投げられるよう、強そうに見られるようウェイトトレーニングを行い身体を大きくした。私のチームにはトレーナーがいなかった為、独学でウェイトトレーニング、スポーツ障害、生理学、解剖学、栄養学、テーピングを学んだ。
社会人となり、クラブチームに入りアメリカンフットボールを続けた。クラブチームに入ると学生時代よりも、より強く、より速く、より大きな選手が周囲にたくさん増えた。より高みを目指すために、仕事の後や休みの日にトレーニングに励んだ。
もっと深く、もっと真剣に身体の勉強をしたいと思い、次第にそれを仕事にしたいと思った。 3年務めた会社を辞め、貯金をつぎ込みスポーツトレーナーの専門学校に入学した。 自分がアメリカンフットボールをやっていた為、その当時の夢は「自分が育てた選手がNFL手になる」ことだった。
独学で勉強をしていた為、一般的に嫌われる解剖学や生理学などの科目も、すっと頭に入ってきた。新しい知識や技術を学ぶことはとても楽しかった。〜当時先生に言われた衝撃的な言葉。「プロ選手相手に仕事をして食っていくのは難しい。専門学校は増えトレーナーの人数は年々増えているのにプロの人数は変わらないから。これからの健康ブーム、高齢化社会に備えて一般人のトレーニング指導をした方がいい。じゃないと生きていけない」 妙に納得してしまった。当初の夢を忘れて、その考え方を受け入れてしまった自分が恥ずかしい。専門学校の講師となった今、当時の自分と同じような夢を抱いて入学してきた生徒に、同じことを言ってしまっている自分が情けない。〜

より学びを深めるために様々な団体が主催するセミナーや講習会にも参加するようになった。学校では学べない知識や技術がそこにはたくさんあり、もっともっと知識を深め、スキルを磨きたいと思った。 色々な団体や協会、トレーナーと出会うことで様々な気づきや学びがあった。その一方、トレーナー業界の矛盾や違和感を覚えるようになった。
他の技術や考え方を認めない協会、他のトレーナーの手段を否定するトレーナー、クライアントに自分の手段を押付けるトレーナー、クライアントを否定するトレーナー…。
「クライアント本位」の指導ではなく「トレーナー本位」の指導。プロスポーツ現場では分からないが、 一般のトレーニング現場では
よく見かける光景…。
それならば自ら独立開業し、何のしがらみもない「クライアント本位」のトレーニング指導ができるジ ムを開こうと思っているさ中、Facebookを通してJARTAの存在を知った。
中野代表の「理屈や縄張り争いなどにとらわれず、「どんな手段を用いてでも」選手のパフォーマンスに貢献できる、そんなトレーナーを増やしたい」という思いに共感し、JARTA認定スポーツトレーナーになることを決意。

上記の経緯や今の想いを踏まえ、現在私がセッションや講義で心掛けていることや意識していることを述べ、「スポーツトレーナーという仕事に対する想い」とさせて頂きます。

 

手技や知識はただの「手段」であって「目的」ではない。「目的」を達成するためには「手段」は選ばない

常に視野を広く持ち、様々な観点からクライアントのニーズに応えられる必要があると思います。狭い考えをクライアントに押し付け
るのではなく、共に答えを導き出せるトレーナーが私の理想像です。

 

「トレーナー本位」ではなく「クライアント本位」の指導

クライアントの表面的なニーズだけではなく、その理由やその次にあるニーズまで読み取ることまでできれば、より強い信頼が生まれると思います。自分の持っているスキルだけでトレーニング指導しよう とすると、クライアントの持つ本来のニーズを読み取ることができなくなってしまいます。 上記と同じ内容になりますが、クライアントと共にトレーニングを作り上げていくことが重要だと感じます。

 

クライアントと同じステージに立つ。(熱意、情熱、目標、想い…)

私が現在担当しているクライアントには、腰痛の改善、ケガのリハビリ、生活習慣病の改善、ボディメイク、各種スポーツのパフォーマンスアップなど様々なニーズを持った、様々な年代の方がいます。 ニーズやニーズに対する思いはそれぞれですが、トレーナーがその真意を見極めクライアントと心身ともにシンクロすることが大切だと感じます。

 

一職業として「スポーツトレーナー」の確立

スポーツトレーナーと聞くと未だに、「運動好きな元気なお兄ちゃん」を連想される方が多いようです。 昨今の健康ブームやメディア露出によって、やっと認知されてきましたが、一般的に職業として確立されていないのが現状です。私の周りにも、30歳前後の結婚を境にスポーツトレーナーを辞めた仲間がいます。理由はトレーナー業では養っていけないから…。相手の親から職業が不安定と言われたから…。私が国家資格などを持たない、フリーのスポーツトレーナーとして活躍することで、一職業として確立させるための手助けになればと思います。また、後進に希望を与えられたらと思います。