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2016年05月07日

野球肩“テイクバック⇒トップ”時の改善のポイント

野球肩は改善の期間がまばらで数週間~1ヶ月程度で改善する場合あれば何年も悩まされる場合もあります。
 
野球肩を発症したことで、日常生活レベルで苦しみ、肩が上がらない、夜間に病んでくる・・・
それが改善しても投球動作になると痛みが出てくる・・・
ようやく痛みがなくなったら今度は元通りになるまで練習をする。
時間をかけていいならそれでもまだいいでしょう。
しかし試合が近いとなるとどうでしょうか?

リミットまでの時間の程度にもよりますが、
可能な限り一刻も早く早急に改善に導かなければなりません。
 
そのためには“野球肩”と一口にいっても
症状別にポイントを明確に絞らなければ、時間ばかりかかります。
 
たとえば【テイクバック⇒トップで痛む】場合と【フォロースルーで痛む】場合では
症状の見るべきポイントは全く異なります。
 
今回は訴えとして多い
【テイクバック⇒トップで痛む場合】のポイントを
お伝えさせていただきます。
 
JARTA認定講師の鳴海です。
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テイクバック⇒トップで痛む場合に診るべきポイント

 
肩の痛みはどうしても胸郭上を動く肩甲骨の動きが重要になりますが、
それだけではこの場合には症状が取りきれない場合が多いです。
 
テイクバック⇒トップの場合、ポイントになるのは上部肋骨と指先です。
 
具体的には投球動作の際に、ボールを握りこむことにより母指内転筋に疲労の蓄積と過緊張し、手根部から中手骨までのアライメントが崩れ、
(写真矢印の方向に第一中手骨が変位する)
それが上部肋骨や肩甲帯に悪影響を及ぼしている場合が非常に多いです。
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これは手根⇒橈骨⇒上腕⇒鎖骨⇒上部肋骨前面へ伝わり、
その結果、肩関節は常時内旋気味になります。
(経絡でいうと肺経の部分への問題が出てきやすくなります。)
 
そのためトップに移行する際には
外旋の動きが必要になるにも関わらず、内旋傾向にあるために
上肢帯の動きが阻害され、痛みが生じます。
 
調整するには
 
手背から第Ⅱ・Ⅲ中手骨を押し上げ、
第Ⅰ中手骨を外転方向へ誘導し、母指内転筋を伸長させます。
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その状態で手関節を底背屈させます。
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それにより手根から崩れたアライメントが修正されることにより、上部肋骨まで整い、内旋位が改善され、テイクバック⇒トップ時の痛みが改善されます。
 
もちろんこれ以前にそもそも肩が上がらない状態であるという場合もあります。
そういった場合にもポイントを絞って調整していくことで早期回復に導くことができます。
 

ポイントを自分で知っていくためには。

 
ポイントを自分で知り、どこをどのようにすればよいかは知識と経験が必要になります。
それは自身の経験だけではなく、他者の経験を知ることでも補えます。
 
今回私はOMSSという知識・概念を応用して自身の経験から
臨床的な推論をお話しさせていただきました。
 
*OMSSとはOriental Medical Sports Stretch
(オリエンタル メディカル スポーツ ストレッチ)の略称です。
OMSSはJARTA アドバンスⅡ移行で登場する概念です。
OMSSに関する記事URLはこちら⇒http://jarta.jp/apply/advance2/
 
 
この内容が少しでも読んでくださっている方の力になってくれればと思います。
自分自身の知識と経験を蓄積し、貪欲に他者の知識・経験を吸収し、
アスリートのために効果的に、よりスピーディに、
スポーツトレーナーとして共に力をつけていきましょう。
 
鳴海裕平