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2014年07月26日

短期間の遠征帯同で重要なこと

短期間の遠征帯同では、選手の身体の状態をトレーナーの視点でしっかりと評価し、わかりやすく(混乱しないように)選手にフィードバックすること。
そしてフィードバックした内容(問題点)の改善に、直結するケア方法を簡潔に指導することが重要です。
 
JARTAトレーナーの山岡俊也です。
 
私は以前から岩田FCというサッカーチームのトレーニング指導および遠征帯同をしております。
岩田FCはジュニアユース世代(中学生)のサッカーチームで、大阪府の東大阪市に拠点をおくクラブチームです。
 
ここ数年は大阪府代表チームの1つとして関西大会に出場するも、全国大会へは出場できていません。
そのため全国大会(アディダスカップ)出場を目標の一つとして、日々のトレーニングに励んできました。選手たちはモチベーションが高くしっかりとトレーニングを実行してくれました.
 
今回は先日帯同しました遠征(日本クラブユースサッカー選手権(U-15)関西大会)の活動報告と、関西大会の結果報告をさせていただきます。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと1
 

一次姿勢の重要性

今大会は関西各府県予選を勝ち上がった32チームが参加しています。4チームでのリーグ戦が8組あり、各リーグ戦上位2チームが決勝トーナメントへ進むことができます。
決勝トーナメントでは上位8チームが関西代表として全国大会に出場することができます。
 
大会までのトレーニングの目的としては、
「倒れない体と股関節を使えるように」
という要望を監督からいただいておりましたので、まずはそのための前提条件を整える目的として一次姿勢をつくるトレーニングを中心に指導していました。
一次姿勢とは、簡単にいうと普段の日常生活で「立っている」姿勢のことです。
 
なぜこの一次姿勢をつくるトレーニングが必要かというと、「立っている」姿勢の重心位置や体軸(高岡英夫論)のズレにより、姿勢保持のための力を必要以上に出してしまっている場合が多くあるためです。
そうなると基本の動作である「歩く」という動作や、動作としてレベルの高い「スポーツ競技動作」においても無駄な力みが生じ、粗雑な動作となってしまうことが多くあります。
いわゆる、アウターマッスル優位の身体の使い方になってしまうということにつながりやすいのです。
 
上記理由から、一次姿勢を整えるだけでもパフォーマンスは格段に変化してきます。
JARTAのトレーニングは既存の筋トレとは異なり、「身体の使い方」に特化したトレーニングです。
 
サッカーに留まらず、各競技でハイパフォーマンスを実現するために必要な身体の使い方を習得していくことが目的です。
もちろんそれらを習得した上で強化は必須ですので、RSSCという筋肉の反射を使った強化プログラムも存在します。
 
少し前置きが長くなりましたが、今回の報告では試合の雑感と宿舎でのケア、大会結果について簡単にご報告いたします。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと2
 

遠征帯同記

リーグ戦初戦

全国大会出場をかけたすごくプレッシャーのかかる試合であったためか、緊張し肩で息をして、みぞおちを固めて(前に張り出して)プレーしている選手が多くいました。
すごく動きが硬く、空回りをしている印象でした。
みぞおちを固めて前に張り出してしまうと、大腰筋などのインナーマッスルが働きにくい状態となります。その結果アウターマッスル優位のパフォーマンスとなり動きが粗雑になっていたことが一因と考えられます。
 
後半は少し本来の動きになってきていましたが、結果はセレッソ西に2−3と敗北。
緊張からの硬い姿勢だけが問題というわけではありませんが、選手がいつもの動きをできていないのは明らかでした。
 
大事な試合に程よい緊張感で臨むということは、すごく重要なことだと改めて痛感しました。
同時にその点に対してのトレーニングをもっともっと伝えられていたらと反省点として思うところも多々ありました。(詳しくは別の機会にお話できればと思いますが、具体的にはトレーニング中の内的認識力の強化をもっと意識させておけばよかったと感じました。)
 

宿舎にてコンディショニング・セルフエクササイズ確認

慢性的な疼痛の訴えのある選手は2名程いましたが、幸いにも今回の試合によるケガ人はいませんでした。
そのことを踏まえ、宿舎では就寝時間までに食事やお風呂、ミーティングなどの時間がある中、短い時間ではありますがコンディショニングの時間をさいていただきました。
 
もちろん一人一人を評価して調整する時間はありませんので、試合後宿舎までの道中に選手と会話し疲労の出ている部位や、試合中の身体の状態を聞き出したりしました。
コンディショニングおよびセルフエクササイズの指導の際には、試合中すごく力んだ姿勢になっていたということを選手にも伝え、自分で調整するためのセルフエクササイズを再確認しアップデートしました。
 
サブの選手を合わせて20数名の選手がいたことと、短い時間であったので二人一組になってもらい選手同士でできるものを中心に確認し実施しました。
 
自分の体の調子を認識させることを目的の一つとして下記内容を実施しました。

  • 自律神経系調整法
  • 経絡マッサージ(セルフでのOMSS:Oriental Medical Sports Stretch)
  • 丹田呼吸法(※呼吸法はJARTAの上級セミナーでいずれ公開しています)

あまり詰め込まず何度か指導したことのあるメニューを中心に方法論と注意点、ポイントをおさらいしながら確認しました。足りない部分については、終了後に再度行ってもらうようにしました。
 
痛みのある選手については個別のコンディショニングにて対応し、問題部位に対するセルフエクササイズについても指導しました。
また現状の痛みをとり、どこが問題となっているのかを伝え、その痛みとの関連を理解させた上でセルフエクササイズを確認し指導しました。
 

個別のコンディショニングでの特効薬について

遠征などでの個別のコンディショニングで準備していった方がよいものとして、私は塗り薬や湿布などは効果的であると感じています。
理由は、選手の中には「これをしたら痛みがなくなる」とか、「この塗り薬塗ってもらったら痛み感じずにできる」など、選手が自分自身に痛みはこれをすればとれるという「設定」をかけている場合が多くあるのです。
チーム単位での関わりという状況では、パーソナルで対応できる場合だけではないので、常に個別で診ることのできない選手に対しては、こういったものを用意して利用できるようにしておくことも重要な要素であると考えています。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと3
 

リーグ戦2試合目

二日目の試合では緊張からの体の硬さは抜けいつも通りのプレーができていました。
しかし結果が伴わず神戸FC戦は0−0の引き分け。昨日とは違いいつも通りのプレーができていましたが、残念ながら結果が伴いませんでした。
 
しかし選手たちは自分自身で改善点を見つめなおし1日で修正する姿をみせてくれました。ほんとに素晴らしいなと感心させられました。
 

関西大会 大会結果

遠征後に行われたリーグ戦最終の奈良YMCA戦では、1-0と勝利し決勝トーナメントに進むことができました。
その後の決勝トーナメントでも順当に勝ち上がり準々決勝で敗退するも、次の試合に勝利し5位入賞で全国大会への出場が決定しました。
 
選手の目標の一つであった全国大会に出場できるということに対して、自分のことのように嬉しく思います。
トレーナーという立場で関わりをもつことができて本当に幸せです。
 
目標に向かって頑張っている選手たちの力になれるように、これからも最大限のサポートをしていきたいと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
短期間の遠征帯同で重要なこと4